183部分:第二十五話 一人の帰還その二
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第二十五話 一人の帰還その二
「おそらくは」
「ピスケス。あの者か」
ピスケスと聞いてエリスはそれが誰かすぐに解したのだった。そのうえで脳裏にその顔を思い浮かべつつ述べるのだった。
「あの女の如き顔の者だな」
「はい、あの者ではないかと」
「それもまたよしか」
エリスはミシェイルの言葉を聞きつつふと述べもするのだった。
「そなたとあの者の闘いでな」
「そうなのですか」
「あの者は確かに美しい」
エリスは言いながらアフロディーテの美貌そのものと言っていい顔を思い出していた。やはりそれは一見では男には見えないものである。
「しかし。それで黄金聖闘士になれるわけではない」
「それはその通りです」
最早誰もがわかっていることであった。
「あの小宇宙。あれだけのものは」
「そなた等に匹敵するものよのう」
エリスの声が若干苦いものになった。
「あの者達の小宇宙は」
「ですから。次の闘いの場所では」
「ピスケスを倒すというのだな」
「必ず」
ミシェイルの声が強いものになっていた。
「御期待下さい。黄金聖闘士を一人確実に減らして御覧に入れます」
「期待しておるぞ。それではだ」
エリスは話が終わったとみるとすぐに八大公達全員に声をかけてきたのだった。
「話は終わりだ。しかし」
「しかし?」
「エリス様、何かあるのでしょうか」
「ある。その通りよ」
笑みが変わってきた。それまで血塗られたかのような笑みであったのが急に何かを用意してそれでもてなすような。そうした笑みになったのであった。
そのうえでさらに八人に対して告げてきたのだった。
「丁度今八人いる」
「はい」
「それが何か」
「宴を用意しておいた」
こう言うのだった。
「そなた達の為にな」
「なっ、まことですか」
「我等の為にですか」
八大公達はそれを聞いて思わず声をあげた。エリスは彼等にとってはアーレスの妹だけではなく崇めるべき神の一人でもある。その彼女から宴に誘われ驚かない筈がなかった。
「そうだ。まずはカナンとジークへの労いだ」
「我々の為にですか」
「しかし我々は」
二人は今のエリスの言葉には思わず言い返したのだった。
「多くの同志達を失っています」
「その我々が労いなどと」
「それについては思うことはない」
だがエリスはそれをよいとしたのだった。
「それはな」
「?何故ですか」
「同志達のことがいいとは」
「それはいずれわかる」
エリスはここでは答えようとはしないのだった。あえて何も言わない感じであった。
「いずれな。それよりもだ」
「宴ですか」
「ミシェイルの為でもあるのだ」
「出陣する私の為にですか」
「吉報を待っている」
悠然と微笑んでの言葉だった。
「
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