182部分:第二十五話 一人の帰還その一
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第二十五話 一人の帰還その一
第二十五話 一人の帰還
闘いが終わった後ジークは一人でトラキアに帰還した。そのうえで戦況報告をエリスに対して行った。
彼はエリスの部屋において座する彼女の前で片膝をついて。そうしてそのうえで報告するのだった。
「九人の同志達を失いました」
「またしても九人か」
「はい」
ジークはエリスの言葉に対して静かに頷いた。頭は垂れたままだ。そのうえで柱も床も壁も赤い神殿を思わせるその部屋の中でエリスに述べているのだった。
「このジーク以外は」
「そしてその者達だが」
エリスはジークの報告を聞いたうえでその九人に対しても問うのだった。
「どうであった」
「どうであったか、ですか」
「そうだ。狂闘士として相応しい闘いをしたか」
問うのはこのことだった。
「如何であったか」
「はい」
ジークはまず一呼吸置いてからそのうえで神の問いに対して答えるのだった。
「誰もが。最後まで闘いました」
「そうか」
「狂闘士に相応しく」
こうも述べるのだった。
「最後まで闘いました。逃げることなく」
「ならばよい」
エリスはそれを聞いてまず満足した顔を見せた。
「それでな」
「宜しいのですか」
「そうだ。それこそがアーレス様の糧になる」
エリスは声まで満足させていた。
「だからだ。最後までそうして闘えばな」
「左様ですか」
「その通りだ。当然兵卒達もか」
「はい」
彼らもだと答えるジークだった。
「無論です。あの者達もまた」
「狂闘士とは何か」
エリスはここで言うのだった。
「それは闘うこそだな」
「はい、そうです」
「その通りです」
ジークだけでなく他の八大公の面々も答える。見れば彼等もまた片膝をついてエリスの前に控えていた。報告するジークを先頭にしてだ。
「それこそが我等の誇り」
「決して死を恐れず戦うことこそが」
「それが我等の強さの源である」
エリスもそれははっきりとわかっていた。
「だからこそよいのだ」
「左様ですか」
「ジークよ」
そしてまたジークに声をかけてきた。
「御苦労であった」
「はい」
「暫くゆっくりと休むがいい」
「有り難うございます」
「まずはこれで二つ」
エリスはここでさらに言った。
「二つだ」
「二つですか」
「そうだ。そしてだ」
その目が光った。赤い目が禍々しい光を放つようになっていた。
「次の闘いであるが」
「誰が行くのでしょうか」
サリアが彼女に対して問うてきた。その少女と見まごうばかりの麗しい顔をあげて。
「次の闘いは」
「ミシェイルよ」
「はっ」
彼女が呼んだのは彼だった。その当人もすぐに応えてきた。
「次はそなたが
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