第二部 WONDERING DESTINY
エピローグ 〜Stairway to Eternal〜
[7/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
人がここで生きているという事を確かめ合うような、
深い口づけ。
躰を包み込む多幸感と共に、間違っていようがない確信と共に、
マージョリーは、答えの出なかった疑問が氷解していくのを感じた。
どうして、あの時自分だけが生き残ったのか?
どうして、暗い闇の中を今日まで這い擦り廻ってきたのか?
きっと。
きっと……
“この瞬間の為だったんだ”
もう辛くない、少しも哀しくない。
それでも止まらない涙と共に、マージョリーは胸元で光るロザリオに心から祈った。
コレが、最初で最後の恋で在るようにと。
【3】
青く澄んだ海原と高層ビルの立ち並ぶパノラマを背景に、
海猫の鳴き声と甲高い警笛が響く埠頭。
視線の先にマストを畳んだ全長100メートルを越える全装帆船が
出航の時を待ちながら聳立する。
その周囲には服と帽子にSPWの記章が入った作業員達が間断なく動き、
大量の積み荷を船倉へと運んでいた。
それを遠間に見据える4つの人影の傍に、
学生服の裾を靡かせながら一人の青年が合流する。
「おやおや、放蕩息子の御帰還だ」
その4人の中の一人、ジョセフ・ジョースターが軽口混じりにそう言う。
同時に、他の3人も彼に向き直った。
「朝帰りかね? 君にしては意外だが」
「フフ、昨夜お伝えした通りですよ。
無事父親と再会出来たので、そのお礼として歓待を受けまして」
電話で詳細 (無論ウソ) を伝えていた為、
悪戯っぽく茶化すジョセフに花京院は穏やかに応じる。
「ジョースターさんの協力にも非常に感謝していました。
くれぐれもよろしくと言われましたよ」
「イ、イヤ、気持ちは嬉しいが、
ワシは生涯妻しか愛さぬと誓いを立てておるのでな、
確かに彼女は美人じゃしスタイルもグンバツじゃがしかし」
「そういう意味ではないと想いますが」
何を想像したのか、赤面しながら両手を振るジョセフを花京院は静かな視線でみつめる。
まぁ実際には 「あのジジイにもアリガトって言っといて」 と
昨日の夜マージョリーから素っ気なく伝えられただけなのだが、
それは言わなくていいだろう。
「それにしても、すまなかったね? 空条。
こっちの人捜しが想いの外難航してそっちを手伝えなくて」
両手をズボンに突っ込んで埠頭に佇む無頼の貴公子は、
特に気にしていないのかいつもの様子で返す。
「別に構わねーよ。シャナと二人でケリは付いた。
で、そっちはどうだったんだ?」
そう言う承太郎は落ち着いた口調だが、
何故かその脇に佇むシャナはムスッとしている。
「……良い、出逢いだったよ。
たったの二日だったけれど。
この国で彼女に逢えて、同じ時を
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ