第二部 WONDERING DESTINY
エピローグ 〜Stairway to Eternal〜
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「もう終わった」 という一言に何も聞かず、ずっと傍にいてくれた胸の裡を。
「そんなの、他のヤツに任しときゃあ良いでしょう。
なんでアンタがそんな重荷をわざわざ背負わなきゃいけないのよ。
誰に頼まれたわけでもない。フレイムヘイズでもないアンタがどうして」
後半は強い口調になってしまったが、言ったコトは本心だった。
そんな、誰も誉めてくれない、認めてくれない無意味な苦難に立ち向かう位なら、
その存在を必要としている、自分と……
(!)
そう言いかけた自分に、彼は微笑んだ。
少し困ったような寂しそうな、でも強く優しい、アノ娘と同じ笑顔。
「そうですね。改めてそう問われると、
自分でも何故そうしようとしているのか?
よく解りません」
そう言って彼は腰の位置で細い両腕を組んだまま、琥珀色の瞳を閉じる。
「でも、家族、友人、ボクにも護りたい人がたくさんいて、
ソレは、この世界に生きるスベテの人々が同じで、
だから、その為になら、自分に出来る事はなんでもやろうって、そう想ったんです。
同じ世界を生きる、“貴方の為” にも」
そう言って吹き抜ける海風の中、爽やかに輝く彼の風貌。
「ノリ……アキ……」
予想もしていなかった返答に、言葉が詰まる美女。
彼の行く先に待つのはきっと、逃れようのない苦痛と苦悶が絶え間なく降り注ぐ、
凄惨なる戦いの日々。
いつ死んでしまってもおかしくないのに、
明日生きられる保証すらないのに、
どうしてこんな風に笑う事が出来るのか?
本当は、彼が何を言っても無理矢理連れ出してしまうつもりだった。
最初に逢った、アノ時と同じように。
でも、出来ない。
そんな事を言われたら、そんな顔で微笑まれたら。
でも……
「ノリアキ……」
マージョリーはそっと花京院に歩み寄り、細い首筋に両腕を絡めた。
仄かな果実の香りと、甘やかな吐息と、躰から伝わる体温が、
“別れ” を否応なく実感させる。
離したくない、離れたくない。
叶わぬ願いだと解っていても、そう想わずにはいられない。
互いの鼓動が躰を通して交わる中、自分も彼の腕で強く抱き締められた。
「ノリアキ……! ノリアキ……ノリアキ……ノリアキ……ッ!」
もう何を言ったらいいか解らない、だから懸命に彼の名前を呼んだ。
全身を駆け巡る熱く強烈な感情と共に、彼の存在を刻み付けるように。
この瞬間は、きっと、 『永遠』 だから。
「死なないで……必ず……帰ってきて……私の処に……」
「解りました……「約束」します……ミス・マージョリー……」
誰よりも近い距離で再会を誓い、
その証をねだるようにそっと閉じられる、美女の瞳。
数拍の後、口唇に重ねられる、温かな感触。
互いの存在を、今二
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