第二部 WONDERING DESTINY
エピローグ 〜Stairway to Eternal〜
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ほどの能力をこの短期間の内に。
このまま放任すればやがて御身にとって深刻なる災厄と成る事は必定でしょう。
ここは早急にその芽を刈り取り、後顧の憂いを絶ちたく存じます」
言葉の終わりと同時に顔をあげたヘカテーの瞳に宿る、深層なる大命の炎。
絶対零度の色彩の裡に秘められた、無限の極熱。
「フッ」
その彼女の決意を戯弄するような微笑が、死角の位置から届いた。
「何が、可笑しいのですか?」
普段感情の起伏を殆ど見せない少女が、
珍しく心中を露わにしてその言葉の主、エンヤに問う。
静かな、しかし凜冽な視線を向けられた麗女は
纏ったショールを梳き流しながら綽綽と告げる。
「“アノ程度の者達に” 怖れを抱くとは、
紅世の 『大御巫』 とやらも随分狭量よの?
ましてやそのような塵芥に等しき者がDIO様の脅威になる等と、
死を以て恥じねばならぬ進言じゃ。ククク……」
この挑発的な物言いには、透徹の少女も氷の双眸を鋭くする。
「視ていなかったのですか? アノ者は」
「ソレが “侮辱” だと言っておる」
頭上から見据えるように、エンヤは言葉を遮り背に掛かる漆黒の髪をかき上げた。
「あんな脆弱な獣如き、我がスタンド 『正 義』 ならば」
空間を撫ぜるたおやかな感覚と共に、ヴェールを彩る銀の装飾が澄んだ音を奏でた。
「十秒で、跡形もなく消滅出来る」
「――ッ!」
確信と共に告げられた言葉が、漆黒の双眸を透して少女の躰を震わせる。
虚勢や増長ではない、その妖艶な躰から発せられる冥界の大気のような
『存在の力』 に拠って。
その力に共鳴するように、少女の躰からも天界の聖気を想わせる
水蓮の炎気が静かに立ち昇る。
不和の相関なれど味方同士で争うのは本末転倒もいい所だが、
専心せずに向かい合うには相手が強大過ぎ、
本懐を撤回するにはその対象が絶大過ぎた。
「……」
「……」
言葉には出さねど一触即発の雰囲気で向かい合う、
現世の麗女と紅世の美少女。
数メートル離れた位置で両者を見据えるヴァニラ・アイスは、
何が在っても対応出来るよう既に戦闘神経を極限まで研ぎ澄ませている。
その直接の原因であるDIOは興味が在るのか無いのか、
変わらぬ表情でグラスを傾ける。
豪奢な調度品で彩られた瀟洒な室内にて、
歴代屈指の 『スタンド使い』 と “紅世の王” との決闘が火蓋を切ろうとした刹那。
バダンッ!
場違いな音が室内に響き、次いでバタタという軽やかな音が耳に入った。
DIOを除く全員が瞳の動きのみで両開きの扉に視線を送った先。
艶やかな撫子色のドレスを身に纏った少女と、
その上に覆い被さった臙脂色のス
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