暁 〜小説投稿サイト〜
【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第四章 魔族の秘密
閑話 ルーカス、自宅に帰る
[1/2]
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
ルーカスは久しぶりに、王都にある自分の家に帰った。
庭は相変わらず手入れが行き届いており、荒れていない。
しっかり刈られている芝生も、綺麗に剪定されている植木も、そのままだ。
だが、朝日を浴びるそれらに漂っているのは、言い知れぬ寂寥――彼にはそう感じた。
「ルーカス様、お帰りなさいませ」
「ただいま、シルビア」
玄関の引き戸を開けると、すぐにその音を聞いたメイド長のシルビアが来て、彼を迎えた。
「今回も大変な戦だったようですわね」
第一声は、あらお一人ですのね? ではなかった。
「そうだな……大変だった。本当は真っ先にここに帰りたかったが……後始末が忙しくて結局朝までかかってしまった」
「フフ、大役お疲れさまでございますわ」
リンドビオル邸は恐らく魔国で唯一、エントランスで靴を脱ぐ必要がある家だ。
彼女はルーカスが脱いだ靴を靴箱に入れようとする。
「シルビアよ――」
「すでに聞いておりますので大丈夫ですわ。ルーカス様」
「……そうか」
重たい報告をしようとしたが、彼女はそれを遮った。
彼はその気遣いに感謝し、靴を仕舞う彼女の頭を後ろから軽く撫でた。
「リンドビオル卿……」
やや元気のない声。
玄関をあがった少し行ったところのすぐ横、四畳半の部屋からだった。
ルーカスが視線を向けると、やや赤みのある髪の若い女性と、銀髪の女の子が部屋から出てきた。
「これは魔王様。おや、カルラ様もいらっしゃっていましたか。おはようございます」
「ああ、邪魔してた……」
「ルーカス、おはよー」
魔王とカルラの視線はすぐに安定せず、ルーカスの周囲や背後の玄関をさまよった後に固定された。
狭い部屋で、真ん中に置かれたちゃぶ台を、魔王、カルラ、ルーカスで囲む。
シルビアがカップスープを三人分運んでくる。
そしてそれをちゃぶ台に並べ終わると、彼女は部屋の入口近くに控えめに座った。
ルーカスが口を開く。
「……魔王様、このたびは長旅お疲れさまでございました」
「ああ、お前もご苦労だったな。リンドビオル卿」
――しーん。
「兵は休ませてあります。師団の再編成についてはもう詰めておりますのでご安心ください」
「そうか。わかった」
――しーん。
ルーカスは魔王を気遣うため、ここにいない一人の話題をあえて避けた。
が、すぐに気まずい沈黙となる。
三人が黙ったままスープを口に運ぶ。
「リンドビオル卿……悪かったな」
空気に耐え切れなかったのだろう。魔王が謝罪した。
隣のカルラの表情も一段と沈み込む。
「その件でしたらお気になさらず。魔王様に責任はありません。
今は次の戦
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ