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STARDUST唐eLAMEHAZE
第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#END
DARK BLUE MOON FINAL〜Ring Of Vestage〜
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の心の空隙には恐ろしいほどの虚無が拡がっていた。
「……」
 美女の独白を聞いたマルコシアスはしばらく黙っていたがやがて、
「疲れてンだよ。オメーは」
短くそう言った。 
「ズタボロん時何言おうがやろうが、ロクなコトにゃあならねー。
食って飲んで寝て、そっから先の事ァ眼が醒めてから考えろ。
何が在ろうが、時間は元に戻んねーだからよ」
 ぶっきらぼうにそう言い帰館をマージョリーを促す。
 言われるままに彼女もそれに従った。
 異国の雑踏を力無い歩調で進む儚げな印象の美女。
 普段の傲然とした覇気は見る影もなく、
今はただ戦いに傷ついた一人の女がそこに在るのみ。
 普通の人間でも、今の彼女を籠絡するのは容易と想わせるほどに。
 適当に見繕ったシャツとジーンズ、履き慣れないカジュアルシューズの
靴音が断続的に耳元で響いた。 
(逢いたい、な……)
 歩きながらワケもなく、そう想った。
 ソレが余りにも身勝手で自己中心的な願望だと充分承知していながら。
 自分で勝手に捨てたくせに、その結果 “彼” がどんなに傷つくか解っていたくせに。
 そんな事を考える自分の浅ましさに、もう溜息も出なかった。
 やがて眼に入る、一脚のベンチ。
(そう言えば、ここで逢ったんだっけ……)
 直接眼を合わせたわけではなく、自在法の生み出す想像の世界の中でだが、
確かに此処で自分は彼と邂逅した。
 今想えば、普通の出逢いというには余りにも奇妙な最初の接触。
 その後反対するマルコシアスを無理矢理黙らせ、
舗道を隔てたガードレールの方へ。
「……」
 ソコ、に。
「……」
 肩からグリモアが落ち、アスファルトの上に大きな音を立てて転がった。
 背後で誰かの叫声がしたが、聞こえない。
 激しく高鳴る胸の鼓動と震える口唇。
 全身を劈く恍然した痺れの中抗いようのない引力に惹かれるように、
自分の躰は勝手に動いた。
 いるはずがない。
 そんな事、在るはずがない。
「約束」 の時から、もう何時間?
 周囲も既に黄昏で染まっているのに、こんな、自分なんかの為に。
 ずっと……?
 やがて、最初の時をトレースするように、前へ立つ自分。
 斜陽にその身を照らされながら、微睡みに耽る中性的な風貌の少年。
 気配を覚ったのか、そっと開く琥珀色の瞳。
 そし、て。
「こんにちは。ミス・マージョリー。
今日は、何から始めますか?」
 まるで何もなかったかのように、彼はいつもの表情で、
優しく自分に微笑みかけてくれた。
「……」
 躰から、スベテの力が抜けていく。
 心が、光り輝くナニカで充たされていく。
 もう、無理だった。限界だった。
 でも、それでもいいと想った。
 たった一人だけでも。
 ずっと自
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