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STARDUST唐eLAMEHAZE
第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#END
DARK BLUE MOON FINAL〜Ring Of Vestage〜
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むべき宿敵 “屍拾い” ラミー。
 今や完全に立場が逆転した状態だが、それでもマルコシアスは
マージョリーに指一本でも触れたら殺すという脅嚇と共に唸った。
「安心しろ。何もする気はない。
私も “アノ少女” には恨まれたくないのでな」
「ッ!」
 紅潮した頬で想わず息を呑むマージョリーの眼前で、
老紳士がスーツの内側から取りだしたモノ。
 緩やかでありながらその裡に烈しい渦旋を宿す、群青の炎。
「すまぬが、 “視せて” もらった」
 事も無げに告げられたラミーの言葉に美女は絶句する。
「“彼等にも” ソレを伝えた。全力で君を止めた者として、
その権利も義務も在ると想ってな」
 続けられた事実に驚愕するマージョリーに代わり、マルコシアスが騒ぎ出す。
「テメエ! 一体ェどーゆーつもりだッ! 
オレの女に恥かかせた挙げ句晒しモンにしようとグゲオアッッ!!」
 羊皮紙をガタガタ鳴らして激高する紅世の王の口が、
頭上からの強烈な踏みつけによって無理矢理閉じさせられた。
「黙ってろ……犬ッコロが……」
 いつのまにか傍に来ていた無頼の貴公子が、
ブランド物の靴底で煙の上がる神器の表紙をグリグリと()じる。
「テメーのヤった事ド忘れ決め込んで調子ン乗ってねーか?
後先考えず好き放題暴れやがって。
もし封絶がバラけて “外” と繋がっちまったら
一体ェどうするつもりだったんだ? あ?」
 言いながら歴戦の不良特有の眼光で、狂猛なる王を一分の斟酌なく睨め付ける。
「テ、テメェも覚えてやがれ、オレの顔面と左脚吹き飛ばしやがって、
今度を会ったら跡形もねぇほど咬み裂いてグエェェ」
 怪鳥(けちょう)を捻り殺した時のような濁声を漏らしながら、
マルコシアスは言動を封じられる。
「フム、話を戻すぞ」
 その光景を後目に、ラミーはマージョリーに向き直った。
「私が言う台詞でもないかも知れぬが、
紅世の徒に憎しみを燃やす君の気持ちも解らぬわけではない。
愛しき者を奪われたのなら尚更、な。だが」 
 老紳士はそこで一度言葉を切り、鋭い視線で美女を見る。
「 “銀” は、追うな」
「――ッ!」
 予期せぬ言葉にマージョリーの虹彩が細く狭まった。
 承太郎の足下でも声を発しようとマルコシアスがジタバタ藻掻く。
 その両者に二の言を与えず、ラミーは確乎たる口調で言った。
「アレは、追うだけ無駄なモノ。追えど付けず、探せど出でず、
近づけば近づくほどその距離は無限に拓いていく。
そしてその先に待つのは、永劫の闇だ」
 悼むように瞳を閉じ、ラミーは言葉を締め括る。
「今ならば、まだ遅くはない。
このまま進めば、後で後悔してももう後戻りは出来ん。
憎しみを捨て、復讐を忘れ、一人の女として達者に暮らせ。
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