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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百六十四話 激震する帝国
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出した。
「借り、と言うと?」
「クロプシュトック侯事件だ。あの事件、もう少しで陛下のお命が失われる所だった。もしそうなっていたら、近衛にも責任を問う声が上がっていたはずだ。分かるだろう、クレメンツ」
「……」
「フロイライン達が誘拐された後、新無憂宮に帝国軍三長官と国務尚書が集まった。彼が知っている事はそこまでだ。後、護衛には装甲擲弾兵がついていたそうだ」
装甲擲弾兵か、リューネブルク中将だな。先ず、間違いは無いと思うが……。
「憲兵隊も大分混乱している」
「ケスラー提督……」
「憲兵隊には宇宙港の封鎖、市内の幹線道路の検問が要請されたらしい。それと要人の警護もだ」
「あの地上車の残骸は?」
「ミッターマイヤー提督、それについては憲兵隊は何も知らなかった。ただリューネブルク中将に司令長官の事を尋ねたが、心配は無いと言っていた」
溜息が漏れた。俺だけではない、他にも誰かが溜息を吐いたようだ。
「とりあえず、今は信じるしかあるまい」
「うむ、そうだな。しかしとうとう始まったな」
メックリンガー提督とクレメンツ提督が話している。その言葉に皆が顔を見合わせ頷いている、とうとう内乱が始まった……。
突然ブザーが鳴ってTV電話に通信士官の姿が映った。
「大変です、今驚くべき情報が……」
「何が起きた」
部屋の空気が一瞬で緊迫した。何が起きた?
「ブ、ブラウンシュバイク公が、今映像を切り替えます」
スクリーンではブラウンシュバイク公が獅子吼していた。
「繰り返し此処に宣言する。私、オットー・フォン・ブラウンシュバイク公爵とウィルヘルム・フォン・リッテンハイム侯爵は帝国暦四百八十七年十一月二十三日、君側の奸、エーリッヒ・ヴァレンシュタインを誅殺した」
誅殺! その言葉に皆顔を見合わせる。誰もが引き攣った顔をしていた。本当なのか、本当に司令長官は死んだのか、あの残骸が眼に浮かぶ。
「卑しい平民は正当なる罰を受けたのである。今こそ心ある貴族はルドルフ大帝以来の国是を護るため立ち上がれ! ゴールデンバウム王朝を守護する神聖な使命は“選ばれた者”である我等貴族にのみに与えられたものである」
「平民に媚を売るリヒテンラーデ侯、エーレンベルク、シュタインホフ等は“選ばれた者”の矜持を失った裏切り者に他ならない。今こそ彼らを廃し、我等の手で帝国を正しい姿に戻すのだ! 大神オーディンは我等をこそ守護するであろう。正義の勝利はまさに疑いなし、ジーク・ライヒ! 立ち上がれ、貴族達よ!」
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