165部分:第二十一話 火の軍団その六
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第二十一話 火の軍団その六
「マルコキアスのシエラ」
こう名乗るのだった。
「女といえど侮らないことだ」
「安心することだ」
シュラはそのシエラと名乗った狂闘士に対しても感情を動かしはしなかった。
「俺は相手が女であろうと構うことはない」
「そうなのか」
「敵ならば倒す」
一言で言い切った。
「それが俺の闘いだ。これが揺らぐことはない」
「わかった。では相手をさせて頂こう」
「そして」
次に出て来たのは小柄な男だった。彼もまた名乗る。
「我が名はパイソン。子爵、ガープのパイソンだ」
「そうか」
「ビルフォードとバドとは親友だった」
先にシュラに倒された二人のことを語ってきた。
「その仇、必ず取らせてもらう」
「仇を取りたければ来ることだな」
「言われずとも」
「最後になるな」
最後に出て来たのは女に見える程流麗な顔をしていた。しかし声は男だった。何処か中性的な雰囲気を醸し出す彼は名乗った。
「はじめまして」
まずは深く一礼をしてシュラに挨拶をする。
「私は男爵、グシオンのクリシーヌです」
「グシオンか」
「そうです。今から貴方を倒す者の名」
彼は言った。
「最後に覚えておいて欲しいです」
「私達三人が相手をする」
中央にいるシエラが言ってきた。右手にはパイソン、左手にはクリシーヌがいる。そのうえで三人でシュラに対して激しい敵意に満ちた目を向けてきていた。
「今からな」
「では来ることだ」
シュラは背を向けはしなかった。
「このシュラ、受けて立とう」
「かつてシュバルツバルトではキャンサーとジェミニの前に多くの同志達を失った」
「このこと、忘れてはいない」
忘れる筈がなかった。だからこそ今その小宇宙をさらに激しくさせているのだから。
「その首倒れた同志達に対して捧げる」
「そしてアーレス様にも」
「ならば俺は」
シュラは三人の今の言葉を受けてから言ってきた。
「このエクスカリバーで貴様等を倒し平和への礎としよう」
「平和ですか」
その平和という言葉に冷笑で応えたのはクリシーヌであった。
「この世で最も下らないものですね」
「下らないものだというのか」
「人は戦いの中で栄えるもの」
こうシュラにさらに言うのだった。
「それでどうして平和なぞ」
「御前達の言うことはわかっている」
シュラはその彼等の言葉を受けて述べた。
「そしてその考えもな」
「わかっているのなら何故聖闘士なのです?」
「わかってはいるが受け入れられるものではない」
シュラはこうクリシーヌに述べた。
「そういうことだ。御前達の考えも言葉も人を認めてはいないものだ」
「人なぞ。アーレス様の僕に過ぎぬもの」
「何を戯言を」
「戯言かどうか」
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