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魔王に直々に滅ぼされた彼女はゾンビ化して世界を救うそうです
第15話『黄金の魔法使いの憂い』
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って暴走する。消費魔力は変わらないからまだいいけど、制御出来てない内は危なっかしいことこの上ないわね。なんでこんな体質持って生まれてきたんだか……」

 愚痴をこぼすメイリアに苦笑しつつ、ジークが隣に腰掛ける。スィーラもジークの隣に腰掛け、彼の方に頭を預けた。
 ジークもまた彼女の真っ白な髪を撫でつつ、反対の手の指先に魔力を集める。現れた光は指先の動きをなぞるようにその軌跡を残し、大気に光り輝く記号を描いていく。

「『ルーン魔術』だっけ」

「ああ。古代の文字を魔力で刻んで、その文字の意味から対応する魔術を自動形成する。普通にやるよりは発動まで時間は掛かるけど、書いたら自動発動だから魔法に全意識集中する必要がないし、俺みたいな白兵戦メインには丁度良いんだ」

 実際、白兵戦をメインとするタイプの対魔傭兵(リ・メイカー)の面々には、この魔術が必須項目とされている。流石に基礎魔術程の応用性は無いが、その効果は筋力の底上げ、敏捷性の強化、反射神経の向上などの身体補助から属性の付与など、主に補助に特化するよう造られたものだ。

 ジークはそのままルーン文字を完成させ、溢れ出した緑色の光をメイリアに付与する。、輝きは自然とメイリアの体を覆っていったが、しかし何の効果も及ぼすことはなくその力を消した。

 回復魔術に連なる、体の異常を調べるためのルーンだ。直接的な回復効果はないが、少ない魔力で体の異常を感知出来るため、病や呪いなどの異常の早期発見に繋がる、有用なルーン魔術。
 それに何の反応もないという事は、メイリアの異常な増幅体質は呪いや欠陥ではなく、先天的な体質という事になる。そうなればもう、現代の医学ではそれをどうにかする事は不可能だ。それを踏まえて制御を成功させる、または利用するしか、魔術で更なる発展は望めない。

「ま、気楽にやっていけばいいさ。目的地も特に決まってない旅だからな、先は長いだろ」

「……そうね、少しずつ練習していくわ。サポート、お願いね」

 メイリアはその眼に少しの憂いを浮かばせたが、直ぐにそれを振り払って穏やかな笑みを浮かべる。スィーラの差し出した手を取って起き上がると、地面に転がった自身の杖を拾い上げた。
 クルクルと杖を回して背のホルダーに杖を挿し直し、背に付いた草をはたき落とす。ぐっと伸びをしてから一つ息を吐くと、天上に輝く太陽を見上げる。

「それじゃ、行こっか」

「おう」

 青衣の少年の返事に続いて肯定の意を示した死徒の少女が、彼女のやる気を表すように、きゅっとその両手を掲げ、胸の前で握り締めた。







 ◇ ◇ ◇








「……それで、仮に俺が唯神教徒から感染者達を守ったとする。その後の予定は決まっているのか?魔蝕
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