十九話:特別な人
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うに顔を赤くしながら俯く。
「う、ぅぅ……やっぱり恥ずかしいです」
『もう、俺死んでいいかも』
「やめてください! こんなので死なれたら私の方がうかばれません!」
まるで月夜の下で安心して死んだ男のように安らかな笑顔を見せるぐだ男。
しかし、ジャンヌの方からすれば恥ずかしい真似で死なれるなどもってのほか。
照れ隠しも兼ねつつぐだ男をぶんぶんと揺さぶって正気に戻す。
『アヴァロンはここにあった……』
「もう……頭を冷やしていてください。私は飲み物とたこ焼きを買ってきます」
デレデレとするぐだ男に喜べばいいのか怒ればいいのか分からずに一先ず退避するジャンヌ。
そして、手近な店で飲み物とたこ焼きを二人分買っていきぐだ男の元に戻る。
見た目似合わず健啖家である彼女であるがデートということもあっていつもよりも食べる量を抑えている。
それだけ、彼女は今回のデートを大切なものと思っている。
だというのに。
「あら、こんなところでお1人? よかったらお姉さんがお相手してあげましょうか?」
『あ、いや、そのですね、マタハリさん……』
ぐだ男の方は大人の女性にナンパをされてあたふたとしているのである。
女性ですら虜になってしまいそうなプロポーションに毒のような色気。
まだまだ初心な高校生がテンパってしまうのは致し方無いことだ。
しかし、それをジャンヌが快く思うかどうかは別だ。
「ぐだ男君! もう、こっちに来てください!」
『よかった、ジャンヌ…って、痛っ! ちょっと腕を握る力が強いって!』
「あらあら、若いっていいわねー」
ムスリとした表情を隠すことなくぐだ男の手を引いて歩いていくジャンヌ。
自分が何をしたのかよく分かっていないながらぐだ男も逆らわずについていく。
そして、気づけば人込みから抜け出し周囲には人がまばらにいるだけになっていた。
「ぐだ男君はいつも女性のそばに居て、いつも色んな人に好かれて……」
『ジャンヌ?』
「あなたが優しいのは知っていますし、理解もしています。でも、それとこれとは別です」
振り返ることなくぐだ男に文句を呟いていくジャンヌ。
ぐだ男の方はそんな彼女らしからぬ言葉を不思議に思いながら背中を見つめる。
だが、次の言葉で彼の表情は一変する。
「わ、わたしだって……やきもちぐらい妬くんですよ?」
拗ねた様に頬を膨らませながら、かつ恥ずかしそうに顔を赤くして彼女は顔を向ける。
そのあまりの破壊力の高さにぐだ男は言葉を失い彼女を見つめる。
しかし、ジャンヌはあくまでもまだ怒っていますという風に装いツンとした態度をみせる。
『ご、ごめん……』
「本当に反省していますか? ぐだ男君は天
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