第11話 闇の使者
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「懸命だな。ところで娘よ」
「ヒ、ヒカルです。天谷ヒカル」
「ふむ?ではヒカル。言うまでも無く今のお前は無力なれど、お前はこの魔導書に宿る7つの力の内の1つと必然的に適合できる。つまり選ばれたのだ」
「――――それを使えば私に力が手に入ると・・・・・・?」
マドウショなどと、よく解らない単語が出てきたが、今のヒカルは力が手に入るのであればそんな事は如何でもいい様で、恐る恐るだが確実に言葉を紡いでいく。
「ああ。だがこの力は適合性とは別に、ある特別な才能が必要なのだがお前にはそれが無い。故に相応のリスクが求められる。それは――――」
男性の説明にヒカルは黙って聞いている。そして――――。
「私やります。美奈の無念も・・・私自身の怒りを晴らす為なら、なんだってやります!」
「ク、クハハハハハハハッ!!よくぞ決意したヒカル、よくぞ覚悟したヒカル!世界に弾きだされたこの俺だけが、お前の命の原初の権利を褒め称えようっ!」
目の前の少女の迷いのなさが余程気に入ったのか、呵呵大笑の如く笑う。
水を差すようで悪いが、こんな深夜のしかも病院で、そんな大声で笑って大丈夫かと心配になる。
しかし防音防振認識阻害の結界が彼女の病室だけに既に掛けられていた。
意外と用意周到の様だ。
そう言う事で何の心配も無いようで、男は褒めることを終えると最後にはヒカルの背を押すように最後に告げる。
「仮初の寝床を涙で濡らし、絶望するのも飽きたろう。――――さあ、この醜くも素晴らしい世界に跋扈する装い隠す下種共に、反撃を始めるぞ・・・・・・!!」
百代の居ない所で、士郎の与り知らぬところで、別種の謎の勢力がこの平和な世界の裏側で、蠢く様にこの地に新たな騒乱を巻き起こしていくのだった。
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