第11話 闇の使者
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昨日は元気無かったけど、メジャーなのは読み尽してそうなんだよね。けどマイナーだけど面白そうな本を結構持ってきたし、これで少しは気力を取り戻してくれるといいんだけど・・・)
大きな紙袋にヒカルを喜ばせる為にいてた本を入れてきたモロは、無意識に速度が早歩きになる。
彼女の笑顔がモロの最近の一番の楽しみで、自分の選択した本を見て喜ぶ姿を想像するだけで胸が高鳴った。
今自分のこの感情が何なのかと向き合う気は無い。
とにかく今は彼女を元気づけたいのだと。
しかし彼女のいる特別な病室前に着たモロは愕然とした。
「面会・・・謝・・絶・・?」
扉の前に掛けてある札の文字を見て、数秒固まっている時に1人の看護婦が近くを通った。
「す、すいません。天谷ヒカルさんのお見舞いできたんですけど、これは・・・・?」
「それは病状が悪化したと言う事では無く、ヒカルさんが頼んできたんですよ。暫くの間誰にも会いたくないと」
「それは・・・・・・」
「納得できないかもしれませんが、少しの間だけ彼女をそっとしてあげてください」
言い終えた後に看護師はその場を去って行った。
モロは看護師を見送ると言うより、立ち尽くすしかなかった。
−Interlude−
深夜。
天谷ヒカルはぼーっとしていた。
先日自殺した親友の件以来、見舞客に対して笑顔を取り繕う余裕すらも保てなくなってきた為に面会謝絶をお願いしたのだが、1人の時は基本的に落ち込むか泣いているかのどちらかで、今は泣き疲れてぼーっとしていたのたのだ。
だがまた自然と涙が込み上げて来る。
悔しさからくる怒りが湧き上がってくる。
しかし今の自分はこの部屋から出る事も叶わない。
自分の無力さに腹が立って仕方がない。
「私に・・・もっと・・・」
「――――力を望むか?」
「誰ッ!?」
声が聞こえてくる方に体を向けると、そこには黒と見間違えるほどの緑色のスーツに緑色のジャケット、そして緑色のハットをかぶる銀髪の男性がいた。
そしてその男性の貌は、一般人の1人でしかないヒカルにも理解できるほどのヤバさが滲み出ていた。
故に思わずナースコールのスイッチに手を掛けようとするが――――。
「いいのか?それを押して」
「あ、当たり前です。こんな時間に――――」
「娘よ。お前は力を欲しているのだろう?その小さな体には収まりきらない憎悪を抱えているのではないか?」
「な、なんで――――」
その事をは、言葉に成らずに終わった。
何故ならば彼女は自然に理解してしまった。原因は不明だが、この男性は自分を害するために現れたのではないと。
そうなると自然にナースコールを鳴らそうとしていた腕も下がる
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