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約1つのラベルと心臓
第n+11話 可愛い子には世に憚らない
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 二会手(にえで) 夏雄(なつお)は日本の布団で眠りについた。


 目を覚ますとそこは、沢山の大小様々な立方体が浮遊する謎の空間だった。
「あら、おはよう夏雄君」
「おはよう」
 侍乃公他(じおれた) 美都子(みつこ)に取り敢えず挨拶を返す。
「さて、突然ですが、町を捨てよ書を出よう」
「は?」
「ここは沢山のまっさらな空間に繋がっているの。ここに私達が手を加えれば、どんな世界にもなる」
「いや待て待て。大事(おおごと)になるのか!?」
「大事って、世界なんて秒で2阿僧祇(あそうぎ)作られるわよ。家庭科で習わなかったかしら?」
「習わねぇよ」
「そう?とにかく、どうせ私達が世界を数個いじったところで、立て板焼けた、3年焼けた、柿藪焼けたって感じよ」
「どういう意味だよ」
「例えば、」
 美都子はポケットからポケットティッシュを取り出した。
「これをキューブに入れたらどうなると思う?」
「……とんでもないことになるのか?」
「少なくともティッシュをオーパーツとした文明が誕生するわね」
「地味だなおい」
「というわけでえーい」
 美都子は手に持ったティッシュを赤い立方体めがけて投げつけた。
 ティッシュは立方体にめり込むように吸い込まれて、その内存在していなかった様に消えていった。
「……どうなったんだ?」
「それを確かめに行くのよ」
「俺達も吸収されたりしないのか?」
「吸収されてあっちの世界に行くのよ。大山鳴動したら桶屋が儲かるって言うし、行きましょう」
 夏雄は美都子の先導に従い、先程の立方体の中に入った。


第n+12話

 目を覚ますとそこは、まるで中世の日本のようだった。
「貨幣制度が発達してて、0.1円ぐらいまでお札で買えるそうよ」
 美都子がひらひらしている紙幣を見ると、そこには夏雄の顔が書かれていた。
「はぁ!?」
「私達が干渉したのが何やら響いたみたいね」
「なんで俺なんだよ!?」
「まぁまぁ。藪から猿の仲って言うでしょ?」
「言わねぇよ」
「さぁ。私は大方観光終えたし、夏雄君はどうする?」
「俺は……」
 答えようとした夏雄を、人が取り囲んだ。
「二会手 夏雄だ!」
「夏雄さんだ!」
「生の二会手 夏雄だ!実在したんだ!」
「うわぁ待った待ったなんだなんだ」
「夏雄君はこの世界の人間と自然の調和を果たした有名人なんだから、当然でしょ?」
「俺そんなことしたことになってんのか!?」
 そう言っている間にもアイドルか何かのように夏雄を熱い視線で見つめる集団が増えていく。
「も、もういい、戻るぞ!」


第n+13話

 目を覚ますとそこは、何も無かった。
 土やコンクリートではなく、何故そこに自分がいれるのか気になる程、ただただ
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