第186話 密議
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宗から董卓の助命を明言された頃、洛陽の虎牢関に呂布が騎兵五千を連れ移動した。彼女は段?の命令で虎牢関の主将に任じられたからだ。彼女には副将に李粛を、軍師に陳宮をつけられた。呂布の連れた騎兵は彼女の故郷・并州から連れてきた強者揃いである。董卓軍内でも精鋭といえる存在であり、彼らは呂布に忠誠を誓った呂布固有の軍といって差し支えなかった。
呂布は虎牢関の城壁に昇り、夕焼けを眺めながら紙袋に入った肉まんを美味そうに頬張っていた。李粛と陳宮も一緒にいる。李粛は満面の笑顔で呂布と同じく肉まんを頬張っている。陳宮はやきもきした表情で呂布に側へ更に近づいた。
「恋殿、虎牢関など放棄して車騎将軍に下りましょう」
陳宮は呂布に進言した。呂布は振り向きもせず夕焼けを眺めたまま口を開く。
「駄目」
呂布は呵責していた肉まんを飲み込むと短く答え、新たな肉まんを頬張りはじめた。
「何故なのです! 車騎将軍に誘われたそうではないですか? 虎牢関を放棄して車騎将軍の軍に投降すれば迎えてくれるはずですぞ」
陳宮は呂布が却下しても怯む様子もなく、正宗に降るように呂布に再び進言した。この遣り取りは先程から何度も行われていた。
「音々音、恋のやりたいようにやらせればいいじゃないすか」
二人の遣り取りを見ていた李粛が口を挟んだ。陳宮は李粛を見て睨んだ。
「咲殿! あなたは許せるのですか! 詠殿は恋殿を車騎将軍共々射殺そうとしたのですぞ!」
陳宮は矢継ぎ早に喋り李粛を非難した。李粛は彼女の話に困った表情を浮かべた。
「アタイも凄く頭来ているスよ」
「じゃあ!」
「恋は残るって言ったじゃないスか。音々音も納得したスよね」
「あれは。あの場で恋殿だけを置いていける訳ないではありませんか!」
陳宮はばつの悪そうな表情を浮かべるも逆切れして李粛に噛みついた。
「恋に任せるスよ。アタイは恋を信じているス」
「私だって恋殿を信じています!」
陳宮は李粛に声を高くして張り合った。
「恋殿、何故詠殿に味方をするのです?」
陳宮は不満そうに恋に聞いた。
「詠関係ない。月を守る」
呂布は端的に陳宮に答えた。
「はっきり言って私達がここにいても月殿を守ることは時間稼ぎしかできないのです」
陳宮は呂布の発言の矛盾点を指摘した。
「車騎将軍は信じてもいいと思った。でも分からない」
「車騎将軍のことは風聞からしか分かりませんが、人物的には嘘は言わないと思うのです。恋殿に約束したならば約束は守ると思います。ただ、どうやって月殿を救出して守るつもりなのかは分からないのです。流石に堂々と月殿を保護できないと思います」
陳宮は呂布の不安を察して自分の考えを
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