第１８６話 密議
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も進めている」
正宗は淡々と張遼に自らの計画を話し出した。張遼は正宗の話に動揺していた。董卓討伐の総大将が敵総大将を助け出すと言っているのである。
「私は董仲穎を救う。だが、もはや名と地位までは守ってやることはできない。だが私の庇護の元に余生を送れるように取りはからう」
沈黙した張遼は正宗を凝視した。しばらくすると張遼は口を開いた。
「それはほんまでしょうか？ 天下の大罪人を匿うとは正気のお言葉とは思えません」
張遼は言葉と裏腹に正宗を探るような視線を向けていた。
「本気だ。冗談で話せる内容でない」
正宗は神妙な顔で張遼を見据えた。彼の揺るぎない返答に張遼は意を決したのか口を開いた。
「私は董仲穎を救うために車騎将軍の元に参りました。董仲穎は車騎将軍との和解を考えておりました。その意思を無視し暴走したのは賈文和です」
張遼は正宗に頭を下げた。
「やはり賈文和の独断か。しかし、賈文和の暴走を看過した罪は拭えない。董仲穎にはその地位と名を捨ててもらう」
「分かっています。誰かが董仲穎の代わりに責任を取らなければなりません」
正宗は張遼の話に沈痛そうな瞳を閉じた。彼女の話から董卓の代わりに誰かが責任をとり死ぬつもりであることを察したのだろう。賈?の死では董卓の死を贖うことはできない。それを無視してでも正宗は董卓を救おうと考えていた。
「董仲穎の側近・段忠明は責任を取るつもりです。彼女は董仲穎の死を偽装するために賈文和とともに自決する覚悟です。董仲穎の身代わりはこちらで用意する段取りはできています。段忠明と賈文和の死を持って董仲穎の保護をお願いいたします」
張遼は心痛な表情で目を伏せ正宗に告げた。正宗は張遼の言葉に驚いたが、段?の覚悟の程を知り神妙な表情で瞑目した。段?と賈?の死体があり、その場に董卓の身代わりの死体があれば董卓の死を印象づけることはできるだろう。
「董仲穎を救うと決めた時にその近臣も匿うつもりでいたのだがな」
「車騎将軍、そこまでご迷惑をおかけできません。それに兵を無駄死にさせた責任を誰かが取らなければウチらのケジメがつきません。兵達にも家族がいます。その家族達に顔向けができません」
張遼は顔を下げ重々しい口調で正宗に言った。彼女の表情は見えないが哀しみを堪えているように見えた。張遼が正宗に降った理由は段?が命をかけて董卓を守る覚悟を打ち明けられたからだろう。敵と一線交えた後での降伏でなく、戦前に味方の元を去り敵に降ることは武人としての面子を傷つける行動といえた。彼女は正宗の客将であることから表向き彼女を馬鹿にする者はいないが、彼女のことを軽んじる者達がいた。だが、彼女はその視線を気にする様子は無かった。全ては董卓を守るため。彼女は段?から
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