第186話 密議
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正宗との面会を終えた碧(馬騰)と翠(馬超)は馬騰軍の野営地に到着すると翠が小声で碧に声をかけた。
「母上、今夜車騎将軍のところに行くのですか?」
翠(馬超)は落ち着きのない様子で視線を母・碧(馬騰)に向けた。
「行くよ」
碧は何でもないように言った。
「行くのですか!?」
翠は慌てた様子で叫ぶと顔を赤くして碧に言った。
「翠、何を勘違いしているんだい。正宗様は月の件で私を呼んだんだよ」
碧は自分の野営地にも関わらず人目を気にするような仕草をしながら囁くような声で翠に説明した。翠は驚きのあまり声を上げるが碧に口を押さえられ頭を殴られた。翠は傷みで涙目になりながら碧を恨めしそうに見ていた。
「大声を出すんじゃない。誰にも言うんじゃないよ。いいね。翠、お前一人じゃ心配だから、今日は私の側にいな」
翠は涙目で碧に頷いた。それを確認して碧は翠の口を解放した。
「母上、兵達のことはどうするんです?」
「蒲公英に任せておけばいいだろ」
「分かりました」
翠は少し拗ねてた表情をした。母に信用されていないことが不満なのだろう。
「内容が内容だからね。脅す訳じゃやないが、人の命が掛かっている。今夜は私一人で正宗様の元に訪問するつもりだったが、翠も付いてくるんだ」
真剣な表情の碧に言われ翠は唾を飲み込み緊張した表情になった。
正宗は碧(馬騰)と面会を終えた後、張遼の天幕を訪れた。張遼は正宗の姿を確認すると正宗を出迎えた。彼女は即座に佇まいを正すと片膝を着き拱手した。
「張文遠、不足しているものはないか? 足りないものがあれば遠慮無く言って欲しい」
「ようしてもらっています」
張遼は笑顔で正宗に言った。その様子を見て正宗は安心したのか笑みを浮かべた。彼女としばし世間話を交わした後、正宗は徐に話題を変えた。
「張文遠、今一度お前の気持ちを確認したい」
張遼は表情を一瞬固くするが直ぐに平静を装った。正宗は張遼から視線を逸らし後ろで手を組み身体の方向を変えた。張遼は正宗の横顔を上目で窺っていた。
「何でございますか?」
張遼は正宗に話を促した。正宗が彼女に確認するべきこと。それは董卓軍と戦う覚悟があるかということである。彼女は正宗の話の内容を察しているようだった。
「間もなく董仲穎と相対する。その前に話しておかなければならないと思っていた」
張遼は何も語らず正宗の話を黙って聞いていた。
「張文遠、私に話したいことがあるであろう」
正宗は視線を動かし張遼を見た。彼は張遼を見透かすような目で彼女を凝視した。
「私は董仲穎を滅ぼすために洛陽を攻める。しかし、私は同時に董仲穎を救い出す。そのための準備
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