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暁ラブライブ!アンソロジー【完結】
言の葉 【ひまわりヒナ】
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ですか」

 彼女がした質問は私がしようとしていた質問と全く同じものでした。
 気になってはいたんです。今まで彼がずっと私達からその高校を遠ざけるように、話題を持ち出そうとしなかったこと、『高校に進学した』としか言ってくれなかった事に。
 そしてずっと私達が彼の言葉が聞きたくて、彼と一緒にいたくて、協力という名目で彼に依存していたように。彼が私達に何が理由で私達に依存してしまっていたのか。私達に何を求めようとしていたのか。

 彼なら大丈夫、そんな安心があった私達はその可能性に目を向けようとしていませんでした。
 いや、正確に言えば自分達のことばかりで彼の事を見てあげられなかった。
 機会はいくらでもあった、なのに私達は、私は……!

「あの子、やっぱり言えてなかったのね。別の高校になってしまったってこと」

 予想は合っていた。
 彼が私達に嘘つくことはほとんどない。実際に『高校に進学した』というのは事実。
 けれど目的の高校には、たぶん届くことができなかったのだろうと思います。
 私達にそれを言う事は、できなかった。それは????

 私がそのことを考えようとした時、彼のお母さんの顔色が変わった事に気がつきました。
 そしてその視線は私達ではなく、私達の後方に位置していました。
 私達はすぐに振り向きました。何が私達の後ろにあるのか、 “誰が” そこにいるのか、それがすぐに分かったから。


「 」


 目が合った瞬間、まるで時間が止まったように私達は動くことができませんでした。
 その一方で次第に強まっていく雨音。
 すぐ帰る予定だったのか、大丈夫だと思ったのでしょう。彼は傘を持っておらず、雨は立ち止まる彼に強く降りかかっていました。
 私の思考はぐちゃぐちゃでした。でも確かに動いていました、必死に。
 なんて?何を?どんな風に? 私はどんな言葉を彼にかけてあげればいい?

 どんな言葉が?

 早く、早く彼に言葉を

 私が先に……!



 先 に?

 私が自分の思考を疑った瞬間でした。

「待って!」

 彼はその場から逃げるように走り出しました。
 突然の彼の行動に戸惑いを隠せなかった私達は素早く行動に移す事はできませんでした。しかし、彼が目の前から消えてしまった、その事実を受け止めた瞬間自然と足は動いていました。

「手分けして探そう!」
「うん!」

 その場から辺りを見ても彼の姿は見えませんでした。なので手分けして探した方が良い、その発想に至り、私達は反対の方向へ走り出しました。

 この瞬間が私にとって重要な分かれ道であったことに気づくことのないまま。


 私は必死に探しました。
 傘をさすことも忘れて、雨の中を走り、
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