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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第二十二話 話合い
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という理由で・・・・。」
「・・・・・・・。」
「お前たちは曲がりなりにも中途で沈んでいった。むろんそれが羨ましいなどとは思わない。だが、私は結局前世では最後まで生き残って・・・・ビキニ環礁で実験標的艦として沈んだ。戦艦としては同じ死ぬのなら、敵の砲弾に当たって死ぬか、若しくは前世での日本復興のために犠牲になりたかったのだがな。」
長門の沈んだ顔を見て、陸奥も大和もかけるべき言葉を失っていた。一人葵は長門の肩に手をかけた。
「先々の話はあまり考えないようにしましょう。けれど、私のような生き方も一つあると思うわ。艤装を外して、一人の人間として、好きなように生きること。軍属になってもいいし、何か自分の趣味に見合った仕事をしてもいい。あなたは前世の戦艦ではなく、その意思と記憶を受け継いだ艦娘なの。艦娘は艦娘よ。一人の人間なの。それを忘れないで。」
長門は視線を落としたままだった。
「ところで。」
葵は話題を変えた。
「各艦隊はいつから哨戒任務に当たるの?」
「明日からです。既にその件でミーティングが始まっているとは思いますが・・・・。」
陸奥は大和を見た。あの時同意したものの、土壇場になって不安になってきたらしい。
「やっぱり無茶じゃないですか?私たちもこれからミーティングに参加しますけれど、とてもやっていける自信がありません。」
「事ここに至っては、もう言葉だけではどうしようもないの。劇薬は並の市販薬と比べ物にならないほど効力があるわ。でも、同時にとても大きな副作用をもたらす。私がやろうとしていることは一種の賭けなのよ。」
「賭け・・・・ですか。やっぱりそれは少し乱暴では・・・・。」
大和が不安そうな顔を崩さなかった。
「このままでは皆対立したままだわ。それもひどくなる一方だもの。あなたそんなメンバーと一緒に艦隊を組んで戦える自信、ある?」
「いえ、それは・・・・ないです。」
「理由は?あなたも前世で大和型の名前を冠する超弩級戦艦だったわ。そして今も。」
「私は万能ではありません。近接戦闘はできませんし、対空砲撃も満足にできない。艦隊戦だって、私一人で何十隻もの深海棲艦を相手取ることはできません。一人では・・・無力だからです。統一行動ができる艦隊があってこそ、一人の力はそれこそ何十倍にもなるんです。」
「そうでしょう?だからこそ試すの。戦いは深海棲艦とだけやるものじゃないの。今私たちが相手にするべきものはまさしく人の心、疑心暗鬼という闇なのだから。特に今は。」
葵は陸奥を見た。
「沖ノ島攻略作戦で尾張は裏切ったわけではなかった。となると、私たちの行動が敵に漏れていたことの説明がつかないわ。」
沖ノ島攻略作戦の際、陸奥は懸念した「裏切り」という問題事項を胸にしまっておき事はできず、極秘裏に長門、大和、そして葵に相談したの
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