暁 〜小説投稿サイト〜
艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第二十二話 話合い
[5/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
雄 金剛 比叡 大鳳 近江 讃岐
第五艦隊は旗艦紀伊 尾張 阿賀野 酒匂 吹雪 清霜
などという、ほとんど冗談とでもいうべき編成だったからだ。
「これは提督方の承認を得ているものよ。変更はできないわ。いいわね?」
「そんな無茶苦茶な――。」
「命令よ。」
葵の顔を見た麻耶はうっと声を上げて黙り込んだその隣で武蔵がぶつぶつ言っている。
「戦艦が駆逐艦の下風に立つなどと・・・・。」
「武蔵、あなたもよ。いくら前世で浮沈戦艦、超弩級戦艦と言われていても、至近距離から100本の・・・いいえ、20本だったかしらね。雷撃を受ければあなただってどうなるかはわかるでしょう。」
武蔵は舌打ちして黙り込んだが目はじっと葵をにらみ据えていた。
「とにかく、今後しばらくはこの艦隊編成で各自哨戒任務に当たること。次の作戦の詳細が決まるまでです。いいわね?」
葵は集まった艦娘たちを前に有無を言わせぬ口ぶりで言い渡した。

皆が去った後、葵、大和、陸奥、長門だけが残った。長門は、昨日はいなかったが、陸奥から昨日の集まりの内容を聞かされている。驚くかと陸奥は思ったが、案外長門が乗り気なのが意外だった。
「流石は元連合艦隊総旗艦ですね。」
大和が先ほどの武蔵達に対する葵の態度を思い返していたのか、感嘆の目をしていた。榛名の提案を聞いた艦娘たちは、だいぶその後も議論しあったが、結局その策しかないということになり、それを紀伊と榛名が葵に持っていったのだ。これを他ならぬ艦娘が提案したとなれば、それこそ軋轢のもとになるが、軍令部参謀梨羽 葵の名前で出せば、曲がりなりにも皆は納得する。そう考えての相談だった。葵はあっさりとこれを承知した。承知したのみならず、編成は私が考えるわと、逆提案をしてきたのだ。
「よしてよ。私は確かに前世の時代では戦艦だったのかもしれないけれど、あなたたちの時代では重巡に毛が生えたような程度の艦だもの。1万5000トン級が戦艦だった時代は一瞬だったのだから。」
葵が少し寂しそうな顔をしていた。だが、輪をかけて寂しそうな顔をしているのが、長門だった。
「それは我々とて同じです。現代では既に電子戦略が一般的です。艦隊決戦主義や目視による索敵や旧式電探など本来は時代遅れ。たまたま深海棲艦によるジャミングでレーダーや電子システムが使い物にならず、それに対抗できる手段が我々だけだったという理由から登用されただけです。そうでなければ・・・・。」
「長門・・・・。」
「陸奥、大和。こんな時にと思うかもしれないが、私は時々不安になることがある。」
長門はそっと会議室の使い古されたテーブルを撫でた。
「この戦いが終わったとして、我々はどうなるのだろう?」
「それは・・・・。」
「使い捨ての雑巾や旧式艦みたいに廃棄されるのか?ただ、役目が終わったから
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ