暁 〜小説投稿サイト〜
艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第二十二話 話合い
[4/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
艦隊を組んで深海棲艦と戦うことすらおぼつきません。今のバラバラの状態では各人が統一行動を取れないでしょう。」
赤城が沈痛な顔をした。
「どうしてこんなことに・・・・。」
陸奥がつぶやいた。沖ノ島攻略作戦の前は、準備万端だと思っていた。後方支援も、備蓄も、そして各員の練度も。だが、一番肝心なものが抜け落ちていたのだ。あるいは抜け落ちているということを誰もが自覚しないままずっとここまできてしまったのかもしれない。
「・・・私はわかったつもりになっていただけなのかもしれないわね。大作戦の前に各艦隊の気持ちは一つだと思い込んでしまった。物質的な手配を可能な限り行ったことで慢心していたのかもしれないわ。精神的な手当てを怠ってしまったのだわ。これをどうすればいいのか・・・。」
「いいえ、さっき榛名さんのおっしゃったとおりです。まだ、間に合います。」
紀伊が言った。
「でも、どうするの?」
「それは――。」
紀伊は言葉に詰まった。人の対立についての特効薬はまだない。心という複雑極まりないものをどうやって解きほぐすのか、そもそも解きほぐせるのか。紀伊にはわからなかった。
 集まった艦娘たちも、一様に重い溜息を吐くばかりだった。1プラス1イコール2のようにわかり切った数式を解くようには、いかないのだ。

「あの・・・少し・・乱暴な手かもしれませんが・・・・。」
躊躇いがちに沈黙を破ったのは、榛名だった。
榛名が手を上げた。
「一つ提案があります。」
各艦娘の視線が一斉に榛名に向けられた。彼女が語りだしたとき、誰もが耳を疑った。提案してきた内容が内容だったのと、それを提案したのが率直で謙虚、飾らず、誰からも敬愛される艦娘だったことに。

翌日――。
「なんだ?!この艦隊編成はッ!!」
会議室前掲示板に張られた、次の艦隊編成表をみた武蔵が我慢できないように叫んだ。武蔵だけでなく、集まってきた艦娘たちみんながざわざわとしている。
「戦艦が駆逐艦の旗艦に従うだと!?」
「ウソだろ!?どうしてアタシが戦艦部隊の旗艦を務めなくちゃならないんだ!?」
「私なんか正規空母の先輩たちと一緒だよ。しかも私が旗艦ってどういうこと!?」
麻耶、そして朝雲が動揺全開の様子で叫んだ。
「見てのとおりよ。沖ノ島攻略作戦も終わったことだし、少し息抜きが必要でしょ?」
掲示板の前に立った葵がしゃあしゃあと言った。
「息抜きどころか――。」
「こんなこと地獄だぜ・・・・。」
「私は我慢できないぞ!!」
発表された臨時艦隊の編成はまさに「変・則」そのものだった。
第一艦隊は旗艦野分 舞風 磯風 村雨 矢矧 そして武蔵 榛名 霧島
第二艦隊は旗艦麻耶 愛宕 陸奥 大和 扶桑 山城 
第三艦隊は旗艦朝雲 能代 加賀 赤城 飛龍 蒼龍
第四艦隊は旗艦高
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ