第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#23
DARK BLUE MOONXX〜Endless Expiration〜
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直撃ったら骨まで消し炭だな。
オイ、今の喰らった奴等、後でちゃんと治せんだろうな?」
「大丈夫、 『喰われ』 さえしなければ、
例え粉微塵に擦り潰されても 「修復」 は可能よ。
だから今は余計な事を考えないで」
魔狼の叫吼が噴出する刹那、既にその軌道を読んでいた承太郎とシャナは
周囲に並ぶ高層ビルを陰にしながら中空へと飛び去り、
吹き荒ぶ熱風の中で短く言葉を交わした。
「にしても、もう2,3発同じモン撃たれたら逃げ場がなくなっちまうな。
封絶もガタがきててヤバイ。一旦二手に別れようぜ」
ビル裏手の壁面にスタンドの指をメリ込ませ、
魔狼の挙動に比例して頭上から剥がれ落ちてくる
幾つもの紋章を手の平で受け止めながら承太郎が言った。
「いいけど、でも時間稼ぎは通用しそうにないわ。
何か良い策でもあるの?」
「ある」
纏った黒衣の能力で傍らに貼り付くシャナに、
承太郎は確信を込めてそう宣言した。
「このまま離れて、あの犬ッコロとの中間距離にまでお互い近づく、
そうしたら 「合図」 を送るから
おまえはアノ “翼” の能力を使ってオレを拾ってくれ。
後は言う通りにしてくれりゃあ」
「!!」
姿を見せない二人に焦れたのか、
魔狼が牙の隙間から火吹きを漏らす呻りと共に
その全身を蠕動させ始めた。
「オレの 『流法』 一発で、ヤツを沈めるッ!」
「ちょっと! それどういう意味!?」
驚愕と想望。
相反する感情を同時に抱いて困惑するシャナを後目に、
承太郎も背後の異変を感じ取っていたのか
掌握した壁面を陥没するほど強くスタンドで蹴り付け、
蒼い陽炎の舞い踊る静止した雑踏の中に消えていく。
「もうッ!」
視界の先で轟然と立ちはだかる顕現の脅威よりも
彼の不明瞭な言動に苛立ったシャナは、
それでも魔狼の意識を分散させる為に逆方向へと滑空を始める。
これからするべき事の概要は把握できたが、
断片的な説明だったので完全な理解には至っていない。
それでも警戒を怠る事なく、微塵の疑念も抱く事なく示された場所を目指す。
だって。
アイツは今まで一回も、自分に 「嘘」 をついた事はないから。
期待を裏切られた事も、一度だってないから。
だから。
だから……ッ!
揺るぎない決意と信頼をその胸の裡で固める少女の風貌を、
突如群青の光が染めた。
(!!)
蠢く魔狼の全身から、刃のような毛革の先から、火の粉が燐光のように立ち昇り、
それらがスベテ獣の牙を想わせる硬質な炎弾と変貌し周囲を取り巻いていた。
(アノ……姿で……自在法……編んでる……)
如何に熟練の自在師だとしても、例え伝説的なフレイムヘイズだったとしても、
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