第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#23
DARK BLUE MOONXX〜Endless Expiration〜
[2/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ったから」
言われるまで忘れていた事象を、少女は本当にすまなそうな表情で
真紅の瞳越しに訴える。
その悔恨に対し、無頼の貴公子は確乎足る口調で告げた。
「いらねーよ。ンなモン」
「え?」
面責はないが落胆は覚悟していた少女は、予想外の返答に瞳の奥を丸くする。
「おまえがいるだろ」
継いで当たり前の如く告げられた言葉に、鼓動が一度澄んだ音を立てるのが解った。
同時に最大の激戦を前にしての、不安や緊張が嘘のように消し飛んだ。
真の姿を現した狂獰な王に対する畏怖や気負いも霧散し、その咆吼すら遠くなった。
「こんな所で、立ち止まっていられねぇ。
アノ男 『DIO』 のヤローは、あーゆー化け物を他に何人も従えてンだからよ。
だから、見せつけてやろうぜ。
オレ達は、何があろうが絶対に屈しないってトコをよ」
そう言って勇壮なその風貌と共に、自分の一番大好きな微笑を向けてくる。
言いたい事はたくさんあったが、
それでも自分は笑っているかもしれない顔を前に向けた。
正直、これ以上嬉しい言葉を貰うのが、何故か少し怖かった。
「さ、て、と」
そんな自分の心中を知ってか知らずか、その隣に轡 を並べる美貌の青年。
そして、決意に充ち充ちた声で、静かに開戦を宣言する。
「いこうぜ……相棒……」
「了解ッ!」
互いの存在を確認する言葉を残し、二つの影が罅割れた大地に降り立った。
そのまま着地の勢いを殺さぬまま、視界の遙か先で鎮座する蒼き魔狼に
真正面から向かっていく。
矮小ながらも両者の発する異質な気配を敏感に感じ取ったのか、
魔狼はその刻印のような瞳を二人に向け威圧するように三度吼えた。
『GUUUUUUUUUUUUUUUUOOOOOOOO
OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO
―――――――――――――――!!!!!!!!!!!』
「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォ
ォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ――――――――
―――――――――――――!!!!!!!!!!!!!」」
大気を揺るがす暴威を弾き返すように、
『スタンド使い』 と “フレイムヘイズ” も同時に叫ぶ。
その咆吼が鳴り止んだ刹那、
蒼き魔狼は剥き出し牙を歪んだ両眼と共に軋らせながら開き、
ソコから頽廃の大禍流を吐き出した。
「「!!」」
昨日マージョリーが行使した “流式” に酷似してはいるが、
コレはその威力、射程距離、持続性共に比較にならない。
天から敲き堕とされる暴虐の裁きの如く
街の一角が群青の禍流に呑み込まれ、
ソコに存在していたスベテが炎に包まれ燃え上がった。
「やれやれ、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ