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恋姫†袁紹♂伝
第49話
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いるようじゃ男じゃねぇ!
 俺らは乗るぜ華雄将軍! あんたらの命、無事に向こう岸まで運んでみせらぁ!!」

「お前達……!?」

 熱に当てられた水夫の代表者が豪語する。
 他の水夫達が頷いているのを見ると、彼らの総意に間違いないようだ。

「では、後は麗覇様次第です」

『!』

 桂花の一言で、その場に居た全員の視線が、瞑目したまま動かない袁紹に向けられた。
 決行の空気が流れているが、それを決めるのは総大将である彼だ。
 いくら他の者達の総意でも、彼が否と言えば否、是と言えば是である。
 とりわけ、袁本初と呼ばれる男は、見た目と言動に反して慎重に事を進める特徴がある。
 
 皆が息を呑み言葉を待つ中、袁紹は静かに口を開いた。

「名誉を返上したらいかんでしょ」

「……………………わざとだ」

「ダウト!」

 結局、 華雄の熱意に負けた袁紹は、条件付で作戦の決行を許可した。






 その夜、未だ豪雨が降り注ぐ中、華雄とその兵士三百人、船頭である水夫達が河岸に集結、荒れ狂う河の流れに戦慄していた。

「す、すげぇ水流だ」

「流れに身を任せたら遠くまで行けそうやんけ!」

「そうだね、二度と帰って来れないね……」

「えっ!! この大雨の中で船頭を!?」

 合流したての水夫も居るようだ。有無を言わさず船に乗せられている、哀れ。


「どうしたお前達、まさか怖気づいた訳ではあるまい?」

「べらぼうめぇ! 武者震いでぃ!」

「あ、こら、姉御に何て口を利くんだ!」

「そんな口利くのはこれか? ん?」

「やめろぉ! ……やめて」

 士気は上場、怖気づいている者はいない。つくづく頼りになる者達だ。
 華雄はさらに彼らの士気を上げるべく、部下の槍を取りあげ、前に出る。
 思い出すのは、袁紹に聞かされ感心した逸話。

「皆見ろ! この槍一つではこのように、(ベキッ!)簡単にへし折る事ができるが――」

「それが出来るのは、将軍含め少数かと……」

「鉄芯入りの柄が……さすが華雄様!」

「……………俺の愛槍」

 想像していた反応とは少し違うが、華雄は構わず続ける。

「そんな槍もこうして、三本束ねれば――」

 ベキベキベキィッ!!

「……」

『……』

「黙って私に付いて来い!」

『オオオオォォーーーーッッ!!』

 檄は大成功だ。









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