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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
2-5 救世主
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ゥ……ゼアアア!!!」
ジンはその勢いでテレスドンの顎を押し上げ、がら空きとなっていた奴の腹にキックを叩き込んで蹴飛ばした。
「ガアアアアア!!」
体液を吐きながら舞い上がるテレスドンは、既に崩れ落ちた長屋の瓦礫の上に落下する。
ジンは跳ね起きて、立ち上がろうとするテレスドンの前に立つと、右腕を胸に当てる構えを取る。
すると、彼の額に埋め込まれた、縦長のエメラルドグリーンのビームランプから、一発の閃光が放たれた。
「デュワ!!」
その光線を受けたテレスドンは、槍を突き刺されたように胸に穴を開けられた。
「ガァッ……」
構えを解くと、なおもこちらに向かってこようと弱々しく、一歩ずつテレスドンは向かうものの、そのまま赤い巨人の前で倒れ、絶命した。
「ハアアアァァ…ダアッ!!」
自身の勝利、戦いの終わりを悟った赤い巨人は、光のごとき速さで夜空に消えていった。



「ち…忌々しいが、やはりやるな」
赤い巨人が勝ったことで、叉丹は憎々しげに顔を歪ませた。
「奴を殺すには、やはり………『覚醒』しなければならんな…。だが、まだそのときではない。それまで、せいぜい仮初の勝利に浸っているがいい」
叉丹は赤い巨人に向けて届くことのない捨て台詞を吐き捨て、彼が消えた夜空から背を向けて夜の闇に姿を消した。



後日…
支配人室にて、米田は一枚の写真を取り出し、それを眺めていた。その傍らには、あやめも控えている。
「一馬、すまねぇ。俺は危うくお前の一人娘を、その友達になるやも知れない娘たちもろとも殺すところだった。自分のエゴ…軍人にあるまじき理由でな」
自分は、花組のメンバーたちを実の娘のように思っていた。だが、降魔戦争で共に戦って、共に絆を紡ぎ合った、息子のように思っていたジンがあの戦いがきっかけで記憶を失ってしまった。仲間の死とジンの記憶喪失による、積み重ねのショックを理由に、間違った選択をとるところだった。
「どのみち俺は父親としても軍人としても褒められた奴じゃねぇ。結局、記憶を失ったままの息子を、あいつの力を頼りにまた戦場に駆りだしてしまった…」
写真に写る黒い髪の若い男を……今は亡きさくらの実父『真宮寺一馬』の顔を見ながら憂い顔で呟き続けるが、すぐに帝国華撃団司令としての、引き締まった顔つきに戻った。
「けど、それでもまだ俺は、お前らと一緒に守ってきた帝都を、これからも守っていきてぇ。そのためにもあいつらを精一杯支えて見せるからよ。もうちっとだけ、待っててくれよ?山崎もいるなら、寂しくはないだろうけどな」
「…支配人」
米田は最後にそう言うと、あやめもかつて共に戦っていた頃の景色と、そこで一緒に立った仲間たちに思いを馳せた。でも、感傷に浸ることが許された時間は少ない。自分たちは、帝都を守るために組織された…『帝
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