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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
2-5 救世主
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ない。
「…」
さくらも同じだった。まさか、こんな巨人がこの世に存在するなんて夢にも思わなかった。
避難していた長屋の人々も、赤い巨人の雄々しく巨大な姿に注目していた。
「な、なんだあれは!」
赤い巨人を初めて見る人たちには、彼が降魔とはまた別の驚異に見えていたのだろう。だが、逆に赤い巨人を見て、期待と幸運に満ちた眼差しを向ける者もいた。
「赤い巨人だ!」
「お、おやっさん知ってるのか!?」
「あぁ、降魔戦争でも俺たちの前に現れた、救世主だ!」
赤い巨人となったジンは、ジリッと身構える。
前回とは違う。あやめがくれた眼鏡で変身したからだろうか。今は自我がはっきり保たれている。一変した自分の姿を見て、ジンは自分の中から力があふれ出るのを感じた。
自分の破壊活動を邪魔されたことで、デビルテレスドンは怒り狂い、目の前の赤い巨人に敵意を向け、襲いかかってきた。
ジンは向かって来たテレスドンの体当たりを正面から両手で受け止めた。その状態から頭を両手で掴むと、テレスドンの顎に向けてニーキックを、今度は胸元に左拳を叩き込む。
テレスドンは宙に飛び上がったと思ったら、その体を横向きに高速回転したのだ。回転を加えた状態で、奴はジンに体当たりをかます。
「グゥオァッ!?」
体当たりを受けて一時ダウンしたジンはすぐに立ち上がるが、背後から再びテレスドンが体当たりを仕掛けてジンを押し倒す。
まずい!
馬乗りになったデビルテレスドンは、口から自慢の灼熱の炎を吐き飛ばし、ジンの顔に浴びせた。
「グアアアアア…!!」
今の炎で銀色のマスクと周辺の赤い肌に、こげみがついた。というよりも、火傷というべきか。デビルテレスドンには、こんがり焼きあがった肉料理のように見えていたのかもしれない。火傷だらけとなったジンの体を、よだれまみれのおぞましい口で噛み付こうと、飛びつくように顔を近づけた。
食われてたまるか!ジンは自分の体に奴の牙が食い込む直前、奴の上下の顎をガシッと掴んだ。
「グギギギギィ…!!」
自分が獲物を見定めた存在から抵抗されて不快に思いつつも、テレスドンは自らの顎を押し付けようとし、ジンは逆にそれを押し返そうとする。
敵の力は予想以上に強く、食われずにいる現状を維持するだけでもやっとだった。機能までの、迷っていた頃の自分だったら、力が入らず押し負けていたかもしれない。だが…!
―――ジンさんも、自分の心に従って答えを見つけたら、どんな答えが出ても、きっと後悔はしないと思いますよ
―――花組のみんなを、私を、米田さんを…信じて
―――行ってこい、ジン。花組のみんなを…俺の娘同然のあの子達を、守ってくれ
自分の迷いを振り払うきっかけをくれた人たちの言葉が蘇り、ジンの腕に力が入った。
「ヌウウウゥゥ
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