159部分:第二十話 力と正義その七
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はできない」
「では教皇」
シャカの目は閉じられたままだった。しかしその小宇宙が黄金色に沸き起こっているのが見える。
「若し彼等が出て来た場合には」
「頼めるか」
「無論です」
シャカの返答はすぐだった。
「それが私の務めです」
「そうか。頼めるか」
「より言わせて頂ければ私達のです」
シャカはすぐに己の言葉をこう言い替えてきた。
「私達の務めです」
「黄金聖闘士のだな」
「はい」
シャカはまたシオンに対して答える。
「その通りです。それこそが我々の」
「そうだったな。その為に御前達がいる」
己に向けて顔をあげてきたシャカに述べたのだった。
「そして私もな」
「教皇もですか」
「そうだ。私もだ」
己もだという。その言葉は決して嘘ではなかった。嘘の響きはそこにはなかった。
「私もまた。その為にいるのだ」
「教皇もなのですか」
「前教皇セージは先代キャンサーであるマニゴルドと共に死神タナトスと闘い壮絶な戦死を遂げられた」
その時のことは彼が最もよく覚えていることだった。この時聖域は彼と童虎の二人しか生き残らなかった。そこまで激しい戦いだったのだ。
「そして私もまた」
「命を捨てる覚悟がおありなのですね」
「その通りだ。御前達と同じだ」
またシャカ達と同じだと告げた。
「私もまた。必要とあらば闘う」
「では。その時には」
「いいか。くれぐれも言っておく」
シオンのシャカへの言葉はまだ続いていた。
「これから私に何があろうとも」
「教皇、その時は」
「この世界とアテナを頼む」
こうシャカに告げたのだった。
「くれぐれもな。いいな」
「はい、わかりました」
「それではだ」
シャカは物静かにシオンの言葉に頷いた。そうしてそれに応えたシオンは最後に彼に告げたのだった。
「処女宮に戻るといい」
「それでは」
「何時アーレスの軍勢が来てもいいようにな」
「御意」
シャカは最後にシオンに頭を垂れて場を後にした。シオンは一人で暫く考えごとをしていたがそれも終え玉座から姿を消した。こうして彼等はそれぞれの場所に戻ったのだった。
第二十話 完
2009・3・30
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