=戦闘訓練編= ヒヒョウセレクト
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世の中には大なり小なり、孤独な戦いというものがある。
ワンフォーオール取得後のデク君の試行錯誤はまさにそれだろう。あれはオールマイトの圧倒的指導力不足もあるだろうが、個性の詳細を誰にも話せないデクくんはグラントリノ登場までの間ずっと体を壊しながら試行錯誤を繰り返していた。
誰にだって隠し事や秘める思いはある。爆豪は孤独を作り出すことで自分を追い詰め、更なる高みを目指していた。轟くんは、エンデヴァーの息子という逃れえぬ場所から父親を見返すために、他の誰にも干渉できない戦いを続けていた。
兄の復讐に走った飯田。原因を作った狂気のヴィラン、ヒーロー殺しステイン。もっと言えば平和の象徴として常に最強のトップの姿勢を崩さなかったオールマイトも、ある意味では孤独だったのかもしれない。同志がいても、仲間がいても、最終的にその考えが過ちだったとしても、起きてしまうものは起きてしまうのだろう。
そんなヒーローたちの孤独で格好いい戦いを振り返ると、俺にそれをするだけの覚悟があるのかいつも自分に問うてしまう。
入試での戦いは俺にとっての初の実戦だった。戦いが始まったとき、俺はロボットに対してデク君が感じたような恐怖は覚えなかった。だがそれは、前世の記憶などという曖昧な記憶があるからこ、俺は目の前の脅威をどこか現実として捉えていなかったのかもしれない。本気で敵と相対した時も、そのゲーム感覚のような覚悟を続けられるとは俺には思えない。
『未来視』、俺の頼もしくもトラブルメーカーな『個性』。
俺はこの個性の詳細を誰にも話すつもりはない。俺がヒーローとして動けなくなってしまったときならば話は変わってくるが、基本的には友達だろうが親だろうが話さない。何故なら、絶対ではないとはいえ未来予知などという力を持っていることが知れたらロクな結果にならないという「未来が見える」からだ。
孤独な戦いは、俺にだってある。デクくんを殺させないという気の長い戦いだ。
デクくんがいつ、どこで、何の危機に見舞われて命を落とすのか俺には分からない。分かっているのは何もせずに備えていれば『結果』がノコノコやってくるという事だけだ。俺はその未来を知っていながら誰にも喋らずに、何事もなかったかのようにこのクラスで学び続ける。
目標達成がいつになるのかもわからない。
別段デクくんに感謝されるわけでもない。
ただ。
(あえて言うならこりゃ、原作者の堀越さんに対する一方的な恩返しってことになるのかね?)
俺は、俺をドキドキワクワクさせてくれたヒロアカという物語を、途中で崩壊させたくない。
そんな自分勝手で一方的な欲動だけが、俺を戦いに駆り立てる。
= =
原作の内容を微妙に忘れた
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