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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第六章 滅亡、そして……
最終話 マッサージ師、魔界へ
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して、イステール以外の国に行って、それで普通に暮らすつもりだよ」
「……そうなんだ」
「マコトからの手紙を読んで、そう決めた」
「あの手紙、そんな大きな決断の参考にされちゃったのか。まいったな」
イステールを脱出してから書いた手紙。
手紙には、あの国で世話になった礼と、あとは、『きみも少しはやりたいことをやってもいいと思うよ』という文を最後に添えていた。
「でも決めたことであれば、陰ながら応援させてもらうよ。幸せに暮らせるといいね」
「うん。ありがとう」
「じゃあぼくは行くから。ここまで来てくれてありが――」
「あ、ちょっと待ってほしい」
「ん?」
彼女が、真っ白な鎧のパーツを一つずつ外し始めた。
何をするつもりなのか――というのは、さすがにぼくにもわかった。
言われる前にこちらも真っ黒なヨロイのパーツを外していく。
お互い鎧下だけの状態。
彼女は目を少し伏せたまま、体を預けてくる。
背中に手を回し、しっかりと抱き合った。
彼女の髪が、ぼくの首をくすぐる。
「マコト……手もあったかいけど、体もあったかい……」
「そうかな」
「うん……」
触れ合う右頬、密着する胸、回された腕、背中に当たる手。
そのすべての感触を確かめた。
しばしの時を過ごすと、ぼくは回していた手で背中を軽く叩く。
名残惜しそうに、回していた手を外した彼女。
一歩離れると、力を振り絞るようにこちらへ目を合わせてきた。
「これから……大変だろうけど、何があっても最後まで頑張って」
「ありがとう。頑張るよ」
ぼくはヨロイのパーツをまとめると、「さよなら」と言って船へ向かった。
一度だけ、船に乗る直前に振り返った。遠くで彼女が手を振っていた。
ぼくも、手を振りかえした。
***
一番大きな船。
乗り込むと、メイド長やカルラ、他の弟子たちが迎えてくれた。
もちろん、全員無事だ。
そして、メイド長とカルラに案内され、船の中央部に行く。
「お、マコト。やっと来たか。遅いぞ」
魔王がぼくの頭をくしゃくしゃかき回す。
「お前はこれからもこき使われるということでいいんだな? 船旅のときからしっかり働けよ? これだけ乗っていると狭くて体中コリそうだからな」
「ハイハイ、喜んでこき使われますよ」
「何だその態度は」
「イテテテ」
「ふふふ、マコトよ……私もお前に楽をさせる気はない。
新天地では治療院もこれまで以上に頑張ってもらわなければならないし、それ以外のことでもいろいろ協力してもらうことになる。
もしかしたら、さっき治療院で死んでいたほうがよっぽど楽だったと思うことになるかもしれないぞ
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