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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第六章 滅亡、そして……
最終話 マッサージ師、魔界へ
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ら持ってきた三冊の小説だ。あれを読んで、必ずしもこの大陸にこだわる必要はない――そう思った」
三冊の小説、『ロードス鳥戦記』、『超合体体術ロボギンガイザー』、『気功界ガリアン』。そのような要素のあるストーリーだったとは知らなかった。
実はイステールで貰った四冊の本のうち、ぼくが最後まで読んだのは歴史書だけだ。
小説は時間の関係で結局三冊とも読んでいなかったのだ。
ある勢力が戦争に敗れて脱出するとか、そのようなラストの話だったのだろうか。
「これは賭けでもある感じ?」
「その要素もあるが。まあしかし海の果てまで行けば、どこかには着くはずだ」
「んな適当な……しかもこの国にまともな造船技術はなかったはずだけど? 船は大丈夫なの」
「ふふふ、どうだろうな。一応資料はあったが、職人たちはほとんど未経験者だった。船は見よう見まねで造ったようなレベルだ」
「はー、あてもないし、船もやばい。不安しかないね」
「そのわりには悲観している感じではないな」
「うん。なんでだろうね」
なんとなく、ぼくとルーカスは顔を見合わせ、笑った。
「ずーっと未来にさ、人間が新天地に来られるようになってしまったら?」
「そうだな。そのときまでには共存のための知恵を持つことを期待しよう」
「……持たなかったら?」
「ふふ、私の子孫が種の保存を図るはずだ」
「なんだそりゃ」
ぼくたちは、また笑った。
「さて。ではマコトよ。私は先に船に乗っているのでな。勇者に別れの挨拶を済ませたらすぐにお前も来い。手前に見える一番大きなあの船だ」
彼はそう言うと、船団の方角へ消えていった。
そうか。勇者カミラ……彼女が見送ることができるのはここまでだ。
「じゃあ、ここでさよならだね」
「うん……」
ぼくは兜を取った。
彼女も取る。
向かい合わせになって、じっと見つめ合った。
「これで……」
「うん」
「やっときみに付き纏われたり殺されかけたりせずに済むかと思うと嬉――」
左の頬の痛みとともに、視界がブレた。
「イタタ……また叩かれたし……。最後まで変わらないなあ」
「キミが最後まで意地悪だしバカだからだよ!」
「あははは」
あまり寂しいサヨナラというのは嫌だった。
彼女の表情も硬かったので冗談を言ってみたのだが、まったく通じなかった。
まあ、たぶん、マッチョ男がここにいたら「お前が悪い」と怒られたのだろうけど。
「これでさ、魔族との戦いは終わることになると思うけど。この先は、どうするの?」
「うん……もう勇者を辞めようと思うんだ。たぶんこれから、人間の国同士の戦いが始まることになると思う。でもそれには私は加わらない。
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