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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第五章 滅びゆく魔国
第64話 ダルムント陥落
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殿軍に向かって心の中で一礼し、弟子たちとともに、走った。
向かう方向はダルムントの裏門、南口。
街をひたすら駆けていく。
ところどころで、兵士が慌ただしく声掛けと避難誘導をしているようだ。
ほうぼうから避難を急かす叫びが聞こえる。
そして――。
「北門が突破されそうだ! 南門へ急げ!」
あまり聞きたくない叫び。
庁舎がある中心部、そして南の民家があるゾーンを、ぼくたちは駆け抜けていった。
途中、庭でのんびり荷物をまとめていた魔族の民間人へ叫んで、避難を急かしながら。
南門の集合場所へと到着すると、避難してきた魔族たちが固まっていた。
魔王とルーカスも一番手前にいる。
「おお、マコトよ。来たか」
「お。マコトも宰相も無事か」
少し待っていると、遅れて避難してきた魔族がパラパラと到着した。
あらためて門前の広場に集まっている魔族を見回す。
……軍人も民間人も少ない。
「なんかえらく少なくない?」
もっといるはずだ。
軍人については、殿軍として残っている第九師団のほか、避難誘導にも人数を割いているため、少ないのはわかるが。
民間人は何をしているのだろうか。
「残念だが脱出を希望しない者も多いのでな。もちろんギリギリまでここで待つが」
「希望しないって、何でさ」
「逃げる気力もないという者もいるし、この街を出るくらいなら――そう考える者もいるのだ。
軍としてはまだ万策尽きたというわけではない。ここは逃げて、生きのびていれば、またチャンスは巡ってくる――そう説明してはいるが……」
「……」
またしばらく待っていると、大通りの向こうに小さな黒い点――人の姿が見えた。
「あ、また遅れて避難してきた人たちかな」
「いや、あれは――」
「……!」
よく見ると、どうやら人間の兵士のようだった。
「もうこれ以上ここに留まっていることはできない。出発しよう」
そう言う彼の姿は、なんともいたわしいものだった。
講和云々と言い出したのは魔族側からであり、しかもここの都市の代表者らである。
彼はそれを無下にできる立場でもなかった。
罠に嵌まったのは不可抗力な部分が大きかったように思う。
そしてその罠の中身にしても、想定と違ったというのは彼だけではない。
ぼくだって勘違いしていたし、誰も予想できていなかった。
だが、眉間に皺が寄り、顎に力が入った、苦渋に満ちたその表情――。
人間側の罠に嵌まってしまったこと。そして不在を狙われて門を破られたこと。その結果大量の逃げ遅れが発生するであろうこと。
恐らく彼は、今のこの事態を招いてしまったのはすべて自身の責任だと思ってい
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