156部分:第二十話 力と正義その四
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第二十話 力と正義その四
「正義とはその」
「つまり」
「力だ」
シュラはここで遂に答えた。
「正義とは何かだな」
「はい」
「それですよね」
「ならばそれだ。力が正義なのだ」
「力が正義ですか」
「そうだ」
こう彼等に告げ続ける。
「力がだ。全てを貫くことができる力こそが正義なのだ」
「そうなのですか」
「それが正義なのですか」
「人の世を護りそうして貫き通すことのできる力」
ここでも力という言葉を出す。
「それこそが正義なのだ。わかったか」
「!?そういえば」
「ああ、そうだな」
彼等はシュラの話を聞いているうちにあることを思い出したのだった。
「デスマスク様やアフロディーテ様も仰っていたな」
「そうだな。力こそが正義だと」
「確かに」
彼等は二人の言葉を思い出したのだった。
「デスマスク様はどんな物事でも絶対にする力こそが正義だと」
「アフロディーテ様は絶対の美である力こそ正義だと」
「仰っていたな」
「そしてシュラ様は」
あらためてシュラの言う力について考えて述べたのだった。
「全てを貫き通す力こそ正義だと」
「今仰いましたね」
「人を護るには力が必要だ」
シュラはまた力と正義を口にした。
「それならば。力が正義だな」
「はい、そうなります」
「ならば」
ここで彼等はわかったのだった。シュラの言うことがだ。
「そういうことですか」
「ですから。力が正義なのですか」
「アーレスを倒す正義だ」
また述べたシュラだった。
「今のそれはな」
「ですがシュラ様」
ザンドルフが彼に問うてきた。
「それでは」
「何だ?」
「アーレスもまた正義になるのではないですか?」
こう問うのだった。
「力が正義ならば」
「そういえば」
「そうなるのか?」
他の青銅の者達も彼の言葉に考える顔になった。
「アーレスは確かに強い」
「それならば」
「いや、違う」
しかしシュラはそれは否定したのだった。それは声の色にはっきりと出ていた。
「アーレスは正義ではない」
「強くとも、ですか」
「アーレスは力によって何を求めている」
こう彼等に対して問うのだった。
「その力で。求めているものは何だ」
「それはやはり」
「己の世界です」
「血塗られた、破壊と闘争の世界です」
彼の戦いとはそれである。ならば必然的に彼が治める世界もそうなってしまう。少なくともアテナが今いるこの世界とは完全に別のものになってしまうのは間違いなかった。
「そうなるとしか思えません」
「それは」
「そこに人は住めない」
シュラは言うのだった。
「弱き者は住むことができない。そうだな」
「確かに」
「その世界になれば」
彼等も容易に想像
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