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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第五章 滅びゆく魔国
第62話 再会
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げたい。

 何とか、なるかもしれない。



 お互い席に着いた。
 人間側に上座をすすめたので、ぼくとルーカスは入口側。
 奥側に勇者をセンターとして五人の人間が並んで座っている。

「あ、そうだ。ねえ、マコト」
「ん? やっぱり兜で顔を隠さないと落ち着かないって?」
「そんなこと言ってない!」
「ごめん冗談」

 隣でルーカスがフッと笑う。

「……キミは相変わらず意地悪だ」
「ごめんごめん、んで何言いかけたの?」
「手紙、ちゃんと届いたよ」
「お、そうなんだ。よかった」

「ほう。お前、手紙を出していたのか」
「うん。イステールを脱出するとき彼女にちゃんと挨拶できなくてさ」
「ふふふ、それはよい話だな」

 彼も罠である可能性はないと見ているのか、表情に少し余裕があるように見える。

「あの手紙の中身読んで、決めたよ。私、この戦いが終わったら――」
「勇者様……先ほども申しましたが、ここは公の場ですので。個人的な話は終わったあとにでも」

 話は遮られた。
 彼女はまたハッとなったような顔をして「申し訳ない」と言い、パーティメンバーの一人に資料や書類を出すよう指示を出した。

 こちらも用意していたものを広げていく。
 話し合いが始まった。



 ***



 人間側の条件提示は、さほど厳しいものではなかった。

 ここまで人間が占領したエリアは現状維持――つまり人間領のままにすること。
 それさえ認めれば、賠償金も請求しないし、新たな領土も要求しないということらしい。

 魔国は大陸南西端だけの矮小国家となるが、それで落ち着くのであれば魔族としては御の字だろう。

「では合意が出来たということで――」

 勇者が話をまとめようとしたそのとき、扉の外側からバタバタという音が聞こえた。
 その音は徐々に大きくなり、すぐ近くで止まった。

 そして今度はバンと大きな音を立てて扉が開く。

「お師匠さま!」

 現れたのは、ぼくの十六番目の弟子。フィン少年だった。
 肩が上下に動き、息を切らしている。

「あれ? フィンくんじゃないか。なんでここに――」
「大変です! 人間の軍が!」
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