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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第五章 滅びゆく魔国
第61話 死ぬときは一緒
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 この場合は、時間を贅沢に使って全身を触っていくことが、遠回りなようで一番の近道のようだ。
 一時間くらいかけて、たっぷりと施術した。

「ふー……やっぱりお前の施術はいいな」

 施術が終わって起き上がり、大きく伸びをする彼。
 見ると、表情がだいぶ良くなっている気がする。いつもの感じに近い。

「すっきりした?」
「うむ。一気に生き返った気がする」

 彼は施術前に脱がされたものを再度手に取る。
 そこで手が止まった。

「そうだ」
「ん?」
「魔王様もな、お前にはすまないと思っているはずだ。あまり素直に言わない方だが、悪く思わないでほしい」
「もうその話はいいって……あ、そうだ。魔王と言えば。あの人って会議中はおとなしいんだね」

 あ、やばい。『様』付け忘れた。
 まあいいか。ルーカスだし。

「魔王様は『起案者』ではなく、あくまでも『承認者』だからな」
「それはわかってるけどさ。いつもぼくの前だとギャーギャーうるさいのになあ」
「誰がうるさいって?」
「わっ!」

 ちょうど魔王が現れた。どこから湧いてきたのか。

「なーんかいつも悪いタイミングで出てくるよね……」
「だまれ。陰口叩いてる奴に言われたくない」
「イテテテ……それはまあごもっともですが」

 頭を掴まれて拳でグリグリやられてしまった。

「で、なんで来たんです?」
「まずは侘びだ。お前はこの国のために働いてくれているのに、あんな冷たい反応じゃ同胞のために働く気もなくなっただろう」

「あ、意外と素直だ」
「うるさい」

「イテテッ……ルーカスにも言いましたけど、そのへんは全然気にしてないんで大丈夫ですって。
 むしろぼくは魔族の皆さんに感謝してます。この世界に来て、やっと仕事をすることができたと思っていますし、本当に充実してました。
 王都でもいろいろと良くしてもらっていましたし、これで不満を言ったらバチが当たりますって」

「……そうか……。まあでも、悪かったな。あとは、やっぱり心配なんだよ。会談が罠だとお前また捕まることになるかもしれないだろ」
「いや、捕まらないと思いますよ? 今度は持ち帰らずその場で始末ってなると思いますから」
「もっとまずいだろが」
「イテテテ」

「ふふふ。魔王様、大丈夫です。私がおりますゆえ」

 そう言ったのはいつの間にか起立して姿勢を正していたルーカスだ。

「それが唯一の安心材料だな。万一のときは頼んだぞ、リンドビオル卿」
「はい。仮に罠であったとしても、商館に百人も二百人も暗殺者が来るとは思えません。十人二十人程度であれば私一人で蹴散らしてご覧にいれましょう」

「へえ、やけに自信満々だね。いつぞやのように魔力切れにならなきゃ
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