155部分:第二十話 力と正義その三
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第二十話 力と正義その三
「このシュラのエクスカリバーが果たして貴様等の思うようなものかどうか」
「戯言を。強がっても無駄だ!」
「我等のこの槍を受けて死ね!」
「今ここでな!」
インプ達は一斉に飛び上がりそのうえでシュラに襲い掛かった。しかしシュラはその彼等をまだ見ている。だがやがてゆっくりとその右手を動かすと。剣を遮二無二切り回しだした。
「何っ!?」
「手刀をそのように!?」
「言っておく」
シュラは技を放ちながら彼等にまた告げた。
「このシュラの剣はただ一回斬るだけではない」
「何だと!?」
「まさか」
「そう、そのまさかだ」
今まさにエクスカリバーが唸る。
「このエクスカリバー、こうすることもできる」
「なっ、シュラ様のエクスカリバーが」
「乱舞した!?」
「受けてみよ、このシュラの奥義の一つ」
今まさに技の名前を口に出す。
「エクスカリバー、乱舞!」
「う、うわあああああっ!」
「剣が!」
その乱舞させ放った剣がインプ達を襲う。それは彼等が避けられるものではなくただ散り散りに切り裂かれたのだった。そうしてインプ達の屍が大地に次々と落ちていった。それはまるで雨が降るようだったが実際に血の雨がアリゾナの荒野に降り注いでいた。
「ば、馬鹿な」
「エクスカリバー乱舞だと」
倒れたインプ達の中でまだ息のある者が死ぬ間際に呻いていた。
「その様な使い方があるとは・・・・・・」
「嘘ではないのか・・・・・・」
「このシュラ、決して嘘をつくことはない」
シュラはエクスカリバーを放ち終えてからいつものように沈着な声で告げた。
「これが現実だ」
「これがエクスカリバーだというのか」
「その通りだ」
また彼等の言葉に答えた。
「身体は切り裂いてはおかなかった」
「衝撃波で斬ったというのか」
「そうだ。エクスカリバーは光の剣」
光速で放つからだというのである。
「貴様等の戦衣では護れぬ」
「くっ・・・・・・」
「この世で切れぬものはないのだからな」
「おのれ、カプリコーン」
「我等の怨み・・・・・・」
彼等は断末魔の中でまだ言っていた。
「きっとジーク様が晴らしてくれる」
「覚えておくことだ」
こう言い残して息絶えていった。シュラはその息絶えた彼等を見下ろしていた。その目はやはり沈着で冷酷なものさえ見られた。
「何故このインプ達が俺に敗れたかわかるか」
「インプ達がですか?」
「そうだ」
不意に他の聖闘士達に対して問うてきたのだった。
「この者達がだ。何故かわかるか」
「それはこの連中が邪悪だからではないのですか?」
「そう、悪だからこそ」
彼等は聖闘士として模範的な答えを述べたのだった。
「だから負けたのではないですか?」
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