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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第五章 滅びゆく魔国
第54話 ダルムント、要塞化完了
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できるのかを粘り強く考えることだ」
「ポジティブだなあ」
「ふふふ……それよりも、その剣はどうだ? 毎日素振りしていたようだが、慣れてきたか?」
ルーカスはぼくの持っている剣を見ながらそう言う。
武器が欲しい――その希望に応えてくれて持たせてくれた、ルーカス監修の特製ソードだ。
嫌だと言っていたにもかかわらず、中二病デザインの剣が仕上がってきた。
黒基調で変な装飾が付いており、赤い宝石のようなものも埋め込まれている。
「うん。だいぶ慣れてきたよ。ただデザインが――」
「素晴らしいだろう? 私のデザインは完璧だ」
「……」
「ふふふ、何か良い名前をつけようかな」
「いや要らないから」
ダメだこりゃ。
「リンドビオル卿!」
階段のほうから声がして、ぼくとルーカスはそちらを向いた。
兵士だ。
「ご報告です! 斥候が人間の軍を発見しました! 二日程度でこちらに来るものと思われます! 数は最低五万とのこと!」
ルーカスが「わかった。ご苦労」と言うと、兵士は駆け足で戻っていった。
「おいでなすったようだな」
「相変わらず人間の軍は数が多いね」
「ふふふ、そうだな。こちらとしては持久戦に持ち込むしかないだろう」
持久戦。
その言葉からは嫌な予感しかしない。
「今回は投石櫓で攻撃されても大丈夫なの?」
大丈夫なの、というのはもちろん、文官や民間魔族のヒステリー対策は大丈夫なのかという意味である。
この前のリンブルク防衛戦では、ルーカスの用意した作戦自体に問題はなかった。
しかし途中で防衛方針に茶々が入り、痛い目に遭っている。
魔王軍は前にも後ろにも敵――前回の戦ではそんな感じだった。
「一応今回は宰相に根回しはできている。完全に投石を防ぐことは難しいからな……。ある程度の被害は我慢してもらうよう周知をお願いした。
リンブルクのときのように恐慌を来すことはないだろう」
「そっか。ならいいけど。なんかあの人、今回また来てるよね?」
「来ているな」
なぜかまた宰相が軍に同行してここに来ている。
邪魔をしてこなければいいが……。
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