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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第四章 魔族の秘密
第52話 ルーカスの話
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地の同胞の意見をかき集め、各国の代表者――人間と交渉を重ねた。
そして、この大陸でまだ開発が及んでいない不毛な地帯に、魔族だけの単一種族国家を樹立する――
それが折り合った結論だった。
しかしそのとき、人間側から条件が付いたそうだ。
魔族を過去の大陸の歴史から抹消し、それまで存在しなかったことにすること。
人間の国を侵さないと約束すること。
魔法の効果を打ち消す魔化装備一式を納品すること。
この三つだ。
なぜそんな条件を付けたのか?
これは私の考察ではあるが……結論から先に言うと、この条件は将来的に魔族を滅ぼすことを考えていた人間側の周到な準備だった、ということになると考えている。
魔族だけの国を作る――それは確かに、迫害されていた魔族の悲願だったのかもしれない。
だが人間にとっては、魔族をまとめて消すために好都合な『隔離』の意味でしかなかったのだ。
当時の魔族は人間に混ざっていたわけだから、人間と同じレベルの技術も持っていただろう。
そこからさらに魔法を上乗せしたような生活ができた。
百階建ての魔王城を見たとき、その建築技術に驚かなかったか?
今の魔族はあのような建物を造ることはできない。
あの城は当時の人間の技術力と魔族の魔力、その融合によって生まれた奇跡の建築。
当時の魔族の力が人間よりも上だったことを示すよい証拠だ。
隔離した魔族をすぐ滅ぼすということは骨が折れる――
そう判断した人間は、ひたすら待つという方針にしたらしい。
『人間の国を侵さないと約束すること』
魔族はそれを律儀に守った。
だがこの約束自体が、「魔族が単一種族で生活を続けていけば、いずれ没落していく」と確信していた人間の罠だったわけだ。
待っていれば魔国は勝手に弱体化し、そのうち野心のある人間の国王が即位すれば魔国を滅ぼすだろう――ということだな。
事実、魔族は魔法の力に頼ってしまうため、世代を重ねるごとにレベルが下がっていき、種族としての地力はどんどん落ちていった。
一方、人間側はそれまでと変わらない努力をし、発展を続けた。
また、過去の歴史から魔族の存在を抹消したことにより、完全に魔族を『外の生物』とすることにも成功した。
そして三十年前。
機は熟したと判断したイステール国王の呼びかけにより、人間は満を持して魔国に攻め込んできた、というわけだ。
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