暁 〜小説投稿サイト〜
【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第四章 魔族の秘密
第50話 お風呂
[1/3]
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
王都で一番大きい浴場。
屋根と柱はあるものの、庭が見渡せ、半露天になっている。
ほぼすべてが石造りだ。
ルーカス、フィン少年と一緒に、男湯に入る。
「お師匠さまはお風呂が好きなんですか?」
「まあ、好きだね。疲れがとれる」
「じゃあ私も好きです!」
「ほぇ? そういうのは無理矢理師匠に合わせなくていいよ?」
そんなものは個人の自由である。合わせる必要などないだろう。
「はーしかし気持ちいいね、このお湯」
へりにもたれて、ついそんなことを言ってしまう。
「ふふふ、この湯は少し黒いだろう? このあたりで掘るとみなこの湯が出てくる。普通のお湯とは違い、体の芯から温まる上に、肌がつるつるになるのだ」
「なるほど。これ、たぶん『黒湯』だよね」
「黒湯?」
「うん。ぼくの世界と同じ泉質であれば、たぶん……。大昔の植物の成分が溶け込んでいるんじゃないかな」
「紙とペンを持ってくる。待っていてくれ。その話、詳しく聞かせてもらおう」
「え? いま?」
ルーカスは慌てたようにお湯から上がり、荷物を置いてあるところへと戻っていった。
そして戻ってくると、今度はお湯へに入らずに、ぼくがいる近くに座った。
「ふふふ。準備完了だ」
「その好奇心、尊敬するよ……」
詳しく説明するつもりなど全然なかった。
しかし相手が本気であると、こちらとしても逃げられない。
ぼくは仕方なく、東京都大田区にある銭湯に貼られていた黒湯の説明書きの内容を、覚えている限りで伝えた。
しかし、地下に大昔の植物性有機物が溶けた水が――などという説明をすると、当然「なぜ?」と突っ込まれてしまう。
堆積の話などもしなければならない。
地学や地理学の知識があまりないぼくにはかなりきつかった。
「ふむ。なかなか面白い話だったぞ、マコトよ」
「うう、なんだか一気に肩首がこって頭が痛くなってきた」
「ふふふふ、すまんな」
「お師匠さま、頭痛もマッサージで治るんですか?」
「あー、まあこういう頭痛は緊張性頭痛だと思うんで治せるだろうね」
「ぜひくわしく教えてください!」
むむむ、ここでか。
頭痛に緊張性頭痛、偏頭痛、群発性頭痛などの種類が存在するということから説明を始めた。
締め付けられているような重い頭痛は緊張性頭痛。
これは首や肩のコリが原因となるので、マッサージは効果てきめんである。
施術が終われば頭痛がきれいさっぱりなくなることもある。
そして、ズキンズキンと脈打つような頭痛は偏頭痛。
教科書的にはこちらもマッサージの適応疾患である。
だが原因は血管の不正拡張なので、緊張性頭痛と全く同じ施術をするのではなく、偏頭痛用の施術をおこなうことにな
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ