暁 〜小説投稿サイト〜
【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第四章 魔族の秘密
第48話 弟子?
[1/3]
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
え。誰?
最初に思ったことはそれだった。
この魔族の子、見覚えはない。
十五人の弟子、それにこの子は含まれていない。
でも今は助けてくれるなら誰でもいい。
頼むぞ弟子よ。誰なのか知らないけれど……。
人間の男二人は、笑い出した。
「馬鹿かお前は。師匠がこんな体たらくだぞ? 弟子が来たところでどうにもならんだろ」
「まだ子供だな。大した魔法は使えまい」
そう言って、二人とも少年のほうへ向かって近づいていく。
慌てるそぶりを全く見せない少年。
磯特有の波しぶき、その音だけがわずかな時間を支配する。
少年は丸腰だ。本当に大丈夫だろうか?
少し不安を感じ始めたとき。
人間側の動きから戦闘が開始された。
的が小さいせいだろう。
近づいていた二人は同時に斬りかからずに、まず一人だけ先に突っ込む。
肩から斜めに斬る袈裟斬り。
鎖骨の下に大動脈弓から枝分かれした鎖骨下動脈がある。
その損傷は致命傷だ。食らえば恐らく助からない。
しかし、少年は軽やかなステップで斬撃をかわすと、右手から火球を放った。
人間の男はすぐに革製の盾を向けるが、火球の威力が勝っていた。盾ごと大きく後方に吹き飛んだ。
鎧の下に着ている服が火に包まれて、痛みと熱さでのた打ち回る。
「……! 貴様ッ」
もう一人の男が続けて斬りかかる。
しかし間合いに入る前に火に包まれた。
少年が、今度は左の手から火球を出したのだ。
あっという間に人間二人は戦闘不能に陥った。
助かった。
少年に礼を言わなければ。
そして申し訳ないけど水を少し飲ませてもらおう。
「おかげで助かったよ。ありがとう。もしできれば水を一口――」
「お師匠さまの荷物はこれですか? 私がお持ちします!」
「え? ああ、ありがとう。えっと、水を一口――ほえぇっ?」
もの凄い勢いで腕を引っ張られた。
「さあ一緒に走りましょう!」
「ちょ、ちょっと……」
仕方なく、ぼくは走った。引きずられるように。
脱水状態だったぼくには拷問だった。
「お師匠さま! お疲れなのですか? 少し遅いようにお見受けします」
「あ、いや、水をだね――」
「私がおぶらせていただきます!」
「うわっ? あ、いや、そうじゃなくて水を――」
「しっかりつかまっていてください!」
み……水を……水を……ください……。
***
「あーおいしい……生き返る」
見晴らしがよすぎる街道から、少し外れたところを歩いている。
少年にもらった、水やドライフルーツのようなものを口に入れながら。
「お師匠さまは飲まず食わずだったの
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ