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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第四章 魔族の秘密
第45話 温泉再び
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ことがあっただろ。そのうちお前に頼める仕事がなくなっちまうぞー」
そう言ってのど仏のあたりに寝かせた手刀を当てる仕草をする。
「ヒエェ、それは勘弁してくだせェ。クビになったら他に行くとこなんてねェですから」
会話を聞きながら、ぼくは考えていた。
確かに攣るのは圧倒的に腓腹筋――ふくらはぎの筋肉――であることが多いが……そうでないケースだってもちろんある。
触ってみればわかるような気がする。
「ちょっといい?」
全身浴状態の男に近づき、とりあえず岩場に腰掛けてもらうように頼んだ。
男は「ん? 何だいな」と言いながらも言うとおりにしてくれた。
「おー。お兄さんの変な術の出番か。それは楽しみだなー」
リーダーの男が面白そうに言う。
まずはスネ。
前脛骨筋を上から下方向に、足首近くまで軽く押して左右差を確認していこう。
「はァ気持ちいィ」
触ると、左右差がかなりある。
左のほうが明らかに硬く、温泉に浸かっていたというのに、ゆるんでいるという感じがまったくない。
……なるほど。
左足が痛くなることの原因について、少し考えが浮かんでくる。
今も攣りそうということなので、施術しながら考えをまとめていくことにしよう。
前脛骨筋の上にあるツボの中で、足三里―――膝の皿の外側下端から指四本分下にあるツボ――は万能ツボで様々な効果が知られているが、強力な足の疲労回復効果があることでも有名だ。
その旅の移動距離とスピードから忍者疑惑がつきまとう松尾芭蕉も、足三里に灸をしながら移動をしたという。
指圧は診断即治療だ。診断ついでに押しまくってしまえ。
「イテテテ、お兄さん怖いよォ」
「なんだおめー情けねーなー」
「いやボス、ホントに痛いんですって」
前脛骨筋がゆるんできたので、今度は足三里から五寸ほど下――膝の皿の外側下端から足首までのちょうど半分くらいの場所――で、さらに親指幅分だけ外側にある豊隆というツボを、左右の足とも少し深めに押す。
「アッ、イテテ!」
ここも痛がっている。他のメンバーがそれを見てまた笑う。
「あはは、ごめんごめん。ちょっと痛かったかな」
「あァ、でも左のほうがずっと痛かったァ」
「そうだよね。硬さが全然違った」
今押さえたところには、深いところに長拇指伸筋と長指伸筋という二つの筋肉がある。
前者は足の親指を反らせ、後者は足の人差し指から小指までの四指を反らせる筋肉である。また、どちらも足そのものの背屈を補助する働きもある。
それらの筋肉、やはり左のほうが明らかにカチコチだった。
ふむふむ、だいぶ考えがまとまってきた。
指圧を続けて筋肉をゆるめにかかる。
「イテ
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