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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第四章 魔族の秘密
第43話 悪魔の遊び
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族に魂を売った裏切者だ。そうだろう? 慈悲をかけるべき正当な理由があるのであれば教えてほしいものだ」
「……」
「どうした? その伝説の剣で首を斬り落とすがよい」

 これはどうにもならなそうだ。この国王がここまでイカレているとは。
 完全に予想外だった。

「ごめんよ、嫌な役をやらせちゃってさ」

 処刑は別に構わないが、まさか彼女にやらせる流れになるとは思わなかった。
 とばっちりを受けた形になった彼女が気の毒に思ったので、ぼくは彼女に謝った。

「マコト……キミは……」
「きみには悪いことをしたと思ってるよ。処刑なんて勇者のやることじゃ無――」

 あっ、と思ったときには左耳に大きな衝撃を感じた。
 直後に頭が床にぶつかったであろう強い衝撃。
 それにほんの少し遅れて、ヒリヒリとした痛みと、左耳が遠くなったような感覚。

 ……ああ、殴り倒されたのか。

 頬を押さえながら起き上がり、あぐらの体勢になる。
 そして手から離れて床に落ちた兜を再び抱えた。

「なんかきみにはしょっちゅう叩かれている気がするなあ」
「キミがバカだからだよ!」
「今謝ったじゃないか。嫌な役をやらせちゃって悪いとは思ってるよ」
「そこじゃない……」
「よくわからないけど。さあどうぞ」

 ぼくのほうからも急かしてみた。
 ここで勇者が躊躇している時間が長いと、彼女自身の身も危なくなってくると思った。
 あぐらのまま姿勢をただし、それっぽく目を瞑ってみる。

「キミは……バカだ……」

 勇者が剣を抜く音が、ズドーンと。

 そう、ズドーンと。

 ……って、あれ? 音がおかしくない?
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