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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第四章 魔族の秘密
第43話 悪魔の遊び
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たことがわかった。

「は? それが理由なんですか?」

「うむ、そうだ。魔国は滅ぼせる状態と判断した。ならば滅ぼしたほうが楽しいだろう? まあ我々の先祖たちも魔族根絶を望んでいたというし、ちょうどよかったのではないか。
 もっとも、余はもう魔族に対する戦争については興味が薄れつつあるがな……。もはや魔族が滅ぶのは時間の問題。頭の中はもう次に進んでおる。次は大陸全土統一に向けて動き出すことになるだろう」

 完全に開き直った。
 正当な理由もなく、楽しみのために征服戦争をしている。
 そして適当なスローガンで大義を確保し、民衆を納得させた。そういうことなのだ。

 勇者は呆然とした感じでデビルスマイルの国王を見つめている。
 このあと彼女は厳しく口止めされるに違いない。気の毒に。

「なるほど。そこまで言われると、もう何も言い返しようがないというか」
「フハハハ。お前はものわかりも悪くないな。さて、もうよいかな。なかなか楽しい時間だった……それは感謝しよう。処刑は……そうだな、いつ行おうか」

「陛下!」

 いきなりの大きな声でびっくりした。声の主は勇者である。

「何だ?」
「お慈悲を……頂くわけには参りませんか」

 いや、この状況でそれはないでしょうに――思わずそう突っ込むところだった。
 いくらなんでもそれは無理だろう。
 国王を見るとやはり半分呆れたような表情をしていた。

「勇者よ、そなたはこの前もこやつを牢から出すよう陳情に来ていたが……」
「はい」
「個人的な感情が入っておるのではないか?」
「い、いえ、そんなことは」

 個人的な感情とは何だろう?
 頭の中でそう考えながら国王を見ると、隣でしどろもどろな勇者のほうを見下ろしながら、「フム……そうか……なるほど」とつぶやいていた。

 そして国王はまたニヤリと気味悪く笑った。

「よし、では勇者よ」
「はい」
「国王として命令する。今この場でそなたがマコトの首を斬って処刑せよ」

 勇者が「えっ」という声を上げ、ぼくのほうに視線を向けた。
 そしてそのまま固まる。

 あ、これはまずい――そう思った。

「あの、彼女は勘弁してやってくれませんか。たぶん、本人はそういうことをやりたくないだろうと思うんで」
「フハハ、お前に決める権利などあると思ったか?」

「……。これも『楽しいこと』なんですか」
「そうだ。今思いついたにしては上等だとは思わないか?」
「あなたは……」
「さあ勇者よ、やるがよい」

 国王は勇者に再度声をかけ、斬首を促した。

 勇者は立ち上がる。
 だが、剣は抜かなかった。

「陛下、やはりお慈悲は――」
「フハハハ。その者は異端だ。人間でありながら魔
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