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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第四章 魔族の秘密
第37話 不眠症の真の原因
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背中を施術してわかった。
あのときの女の子――ノイマールの戦のあとに温泉で会った女の子と、一緒じゃないか、と。
施術は始まったばかりだったが、いったん中断させてもらった。
二人には兜を脱いでもらい、少し事情を聴かせてもらうことにする。
「なんで秘密にしてたの?」
二人はベッドの前でスツールに座っている。
ぼくはベッドに腰掛け、向かい合うような形だ。
マッチョ男も兜を脱いでいる。
もちろん中身は温泉のときのボディガードだ。
久しぶりに見た二人の顔。
勇者はまだ十代だろう。マッチョ男もぼくと同じくらいではないか。
若い。
「最初に会った温泉のときは仕方ないと思うけどさ。イステールに来てからも隠し続ける意味は全くなかったと思うんだけど」
「泉で会ったときのキミの話を、軍に……報告してしまったから……」
そう言って、勇者は下を向いてしまう。
マッチョ男が心配そうに勇者へ顔を向ける。
「なるほど。人間側がわざわざぼく個人をさらいに来るなんて不自然とは思っていたけど。やっぱりあのときの話が伝わっていたんだね」
「言ったのはおれだ。勇者様ではない」
「いや、やっぱり私のせいだ……」
やはり温泉でしゃべったことが軍に伝わっていたのだ。
勇者だと知らなかったとはいえ、やはりぼくはベラベラと余計なことを言うべきではなかった。
結果的に魔族のみんなに迷惑をかけることになってしまった。
失敗したなと思う。
ただ、その情報漏れルートは以前から可能性の一つとして考えてはいた。
別に今ここでそれを聞いて「え?」と驚く話ではない。
そして勇者とそのパーティメンバーは性質上、そんな話を聞いてしまったら軍に必ず報告しなければならないはずだ。
むしろ隠しているほうが背任罪。二人は当たり前のことをしただけだ。
他にも何か事情があるのだろうか。
「それで? 他にはどういう事情が?」
「他には、ないけど……」
「えっ?」
「……」
「まさかそんな理由だけでずっと顔を隠してたとか?」
「う、うん。キミが知ったら怒ると思って……」
「はああ?」
意味がわからない。
別に悪い事をしているわけでもないだろうに。
むしろ、そのようなくだらない理由で一生懸命コソコソ顔を隠し続けていた――その事実に対して腹が立った。
「あの、そんなどうでもいいことをいちいち気にしているから、ますます夜寝られなくなるんじゃないの?」
「……」
「あの温泉でベラベラしゃべったのはこっちの失敗だよ。あんなことしゃべらなければよかったんだから」
ぼくは民間人だが、軍に帯同していた。
そしてやっていたことについては、軍の補助だ。
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