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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第四章 魔族の秘密
第37話 不眠症の真の原因
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立場で軍事上の秘密に近いことを話してしまった。
 明らかにこちらのミスだと思う。

「ぼくは敵国の籍だったんだよ? 『そちらの話は軍に伝えてた』の一言で別にいいんじゃない?」
「で、でも……」

 勇者の歯切れは悪い。
 こんな性格だと精神的に解放される時間などないだろう。
 それは病気にもなるわ、と思う。

 最初から少しおかしいとは思っていた。
 彼女は妙にぼくに気を遣い過ぎる。

 単一種族国家である魔国に人間が一人混じり働いていた――それは人間を代表して戦う立場でもある勇者にとって、衝撃だったかもしれない。

 しかし、だからといってそれは彼女がその一人に気を遣いながら戦う理由にはならない。
 そんなことを考えていたらきりがないからだ。

 極端な話だが、万一新宿西口の転送屋が次々と人間を魔国に送り込んだらどうするのだろう。
 勇者は心労で再起不能になるのではないか?

 こんな調子だと、この先彼女の身が持たないと思う。
 ここは意識を変えてもらえるよう話を……。

 あ、いや。それはだめか。
 あまり厳しく突っ込んだら、余計彼女の体調が悪化する。
 ここはサラッと流すべきかな。

 もともと、何で顔を隠していたんだろう? と単純に不思議に思ったので聞いただけだった。
 「チクりやがって」なんて別に思っていないし、そもそもぼくがどう思っているのかなんて、彼女が気にする必要は全くないはずだ。

 もうこの件について触れないほうがよい気がしてきた。
 仕切り直しだ。施術を再開しよう。

 ぼくは彼女に、もう一度ベッドに横向きで寝るよう促した。

「じゃあ、続きをやるよ」
「……うん」
「なんか態度が硬いなあ。とりあえずさっきの話はいったん忘れよう。ね。ぼくは何とも思ってないから」

「本当?」
「本当だって。だいたい、ぼくは今捕虜みたいなもんなんだから。
 別に捕虜がどう思おうが本来何の問題もないはずでしょ。気軽に構えてていいよ」

 施術を再開した。
 今度は不眠症によく効くと思われる経穴を押さえていく。

 背中、脊椎の外側の一寸五分の縦ラインには不眠症によく効く経穴が並んでいる。
 心兪――第五胸椎、肝兪――第九胸椎、胆兪――第十胸椎、脾兪――第十一胸椎、胃兪――第十二胸椎、腎兪――第二腰椎、上から順にじっくりと刺激していく。

 また、首にある風池や安眠、足裏にある湧泉や失眠なども重要である。
 すべて横向きのまま施術できるので、順に指圧していく。

「どう? 気持ちいい?」
「……」

 返事はなかったが、頭が少し縦方向に動いた。
 最後は手の施術をおこなうことにする。

 人さし指の付け根からほんの少し手首側にいったところにあ
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