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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第四章 魔族の秘密
第36話 勇者、倒れる
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ない。
まず一番初めに背中を軽擦する。
手のひらを密着させ、体重をかけてさするだけなのだが、実はこれだけでもかなりの施術効果がある。兜から少し声が漏れてきた。
続いて背中を指圧することにした。
左右の手の母指を重ね、母指以外の四指も密着させ、手で包んで絞るようにコックしてから押圧する。
バイクのアクセルを回す動き――そこまでオーバーではないが、イメージとしては近い。
ぐい。
指圧は『診断即治療』といわれる。
治療をおこないながら、同時にその感触で体の状態を察知することができるという意味だ。
脊柱起立筋のハリ具合を確認しながら押していく。
ぐい。
交感神経が優位すぎる生活が続いたせいだろう。やはり背骨の両脇はガチガチだった。
これを緩めるだけでも全然違うだろう。
ぐい。
……あれ!?
…………。
ああ。そういうことだったのか。
「あのさ」
「え?」
「兜、脱いで。もうぼくの前で着けてる意味はないから」
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