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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第四章 魔族の秘密
第34話 渡された本
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「わわっ」
ぼくは不意を突かれてびっくりしてしまい、後ろにお尻をついてしまった。
「えっ? あ、気が……ついてたんだ」
「う、うん」
例によって表情はわからないが、向こうもびっくりしたようだ。まあ当たり前か。
彼女もぼくも立ちあがり、格子越しに向き合った。
「マコト。ごめん、私も聞かされてなかったんだ。キミを縛りつけてあんなことをするなんて……」
彼女は少し慌てたように拷問のことを謝罪してきた。
「そうなんだ? あれはきみの趣味なのかと思ってた」
「違う!」
「はは。今のはただの冗談」
「……」
本当に冗談だったが、笑ってはもらえなかったようだ。
――あ、そうだ。あのあとリンブルクがどうなったのか聞かないと。
「リンブルクがどうなったのかは聞いてもいい?」
「うん。まだ交戦中のはずだよ」
「あー……。そうなんだ」
心配だ。
弟子たちの技術は順調に上がってきていた。
ただ、ぼく抜きで魔力回復役として戦を支えられるかといえば、まだそこまでではない。
リンブルクはもう時間の問題かもしれない。
しかし、心配したところで今のぼくにはどうすることもできない。
もどかしい。
「やっぱり、気になるの?」
「まあね。みんな無事だといいなって」
「……」
素直に答えた。
これでは「魔国に帰りたい」という気持ちがあると言ってしまっているようなものだが、ごまかすのも嫌だった。
勇者は、そのぼくの答えに反応しない。
うーん……やっぱり表情がわからない人が相手だとやりづらいなあ。
鎧を脱いでと言ったら怒るかな。
「きみ、カミラと言ったね?」
「……そうだよ」
「じゃあカミラ」
「うん」
「鎧は脱がないの?」
「……脱がない」
「実は魔族なんです、とか?」
「違う!」
「ははは。今のも冗談だってば」
「…………キミは意地悪だ」
そろそろ本気で怒られそうなのでもう冗談はやめよう。
しかし鎧は脱げないということらしい。残念。
いずれは見せてもらえるときが来るのだろうか。
「あ、マコト……」
「ん?」
「これから城に行く予定なので、マコトのことについても話をしてくる。この牢の中のままじゃあまりにもひどいから」
「お? 他の施設に移してもらえるの? ありがとう。うれしいな」
彼女はこれから城に行くつもりだったようだ。
今まで格子の前にいたのは、拷問したことを謝るために、ぼくが起きるまで待っていてくれたのか。
「少し日数がかかると思う。それまでここにいてもらうことになるけど……そうだ、なにか欲しいものはある?」
「うーんと。じゃあ、歴史の本一冊と、あとは小説があれば
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