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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第四章 魔族の秘密
第33話 マッサージ師、牢屋へ
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を誰が信じる? 人を馬鹿にするにも程があるなッ」

 そう言いながら、また棒を打ちつけた。

「ぐあっ! それは……本当なんだ」
「強情だなッ」
「ぐはぁっ!」

 まだ供述を拒否しているわけではなく、素直に話しているだけなのに。
 どうすればいいんだ。

 打ちつける瞬間の痛み。少し遅れてやってくる鈍い痛み。
 胸から腹のヒリヒリ焼けるような痛み。牢に入る前に叩打された顔や背中の痛み。
 もう全身が熱い。

 本当のことを言っている、と繰り返し説明するが、なおも棒で打ちつけてくる。
 首に力が入らなくなり、頭が垂れてきた。
 なんだか視界も……徐々に白っぽくなってきている。

 ……ん?
 少し離れた所で、なにやら言い争っている声が聞こえた。
 ここからでは見えないが。牢の入口だろうか?

「なんだ? 騒がしい」

 棒の女性が一度格子の外に出た。
 ぼくは首を渾身の力で持ち上げる。すると、その女性が格子を出たところで固まっているように見えた。

 金属音を伴った足音が近づいてくる。
 そのペースは速く、慌てた様子にも感じる。

「マコト!」

 現れたのは、紋章入りの白の鎧。
 勇者だった。
 彼女はぼくの名前を呼ぶと、開いたままの扉から中に入ってきた。

「マコト、ボロボロじゃないか……」

 勇者の手が伸び、ぼくの頬に触れた。
 冷たかったが、体がヒリヒリして熱いぼくには不快ではなかった。

「ははは……きみにもリンブルクでやられたけどね」

 すでに頭の回転が止まっていたせいか、自分でもよくわからない台詞が出た。
 そして急速に意識が遠のいていくのを感じた。

「これはどういうことなんだ! こんなのは聞いてない」

 ん? 勇者が棒の女性に詰め寄っているのだろうか。
 しかしその声もフェードアウトしていく。
 ぼくはまた気を失った。
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