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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第三章 領土回復運動
第32話 対決 マッサージ師VS勇者
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の次の攻撃のほうが速いだろう。

 だめだ、助太刀しなければ……。体……動け。
 のろのろと勇者に接近して、ぼくは剣を振った。

「がはっ」

 あっさり横振りで飛ばされた。
 また無様にバウンドする。

「……く……」

 まずい。立ち上がれない。
 勇者が魔王にとどめを刺そうと振りかぶる。
 間に合わない。

「待った!」

 ぼくの叫びに勇者の動きが止まった。

「行く! イステールに……行くから!」

 剣先を魔王に向けて治癒魔法の使用を牽制しながら、勇者は少しだけぼくのほうを見た。

「……本当?」
「うん。その代わり、今この場で魔王に手を出さないことが条件……でもいいかな」

 この期に及んであまりにも都合のいい条件だと、ぼく自身も思った。
 冷静に考えれば、どう考えても通るはずのない提案をしたのかもしれない。
 だがすぐに返事は来た。

「わかった」
「勇者様!」
「いいんだ。わたしが責任を負う」

 後ろにいた兵士が咎めるように叫んだが、彼女はそれを制した。

「じゃあ、マコト。私と一緒に来てもらうよ」
「……うん」

 ぼくはまた剣を杖代わりにして立ち上がった。

「マコト……ダメだ……私は許可してない。行くな……」

 倒れている魔王が呻くように言う。

「魔王様、あなたもぼくの患者の一人です。患者の命は施術者にとって一番大切なものです」
「……行くなと……言っている」

 ぼくは再度の魔王の呻きを無視した。

「これ以上お役に立てず申し訳ありません……ルーカスたちに、よろしくお伝えください」

 そう挨拶すると、勇者のほうに向かって歩き出した。
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