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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第三章 領土回復運動
第32話 対決 マッサージ師VS勇者
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 ここは民間人ということにして、逃げるように言えば……矛先はぼくのままだ。
 魔王は追われなくてすむかもしれない。

 魔王だと知られたら優先順位がぼくより上になる気がする。
 そうなればここで魔王は勇者に殺される。

 ルーカスよりは落ちると聞いているが、『魔王』であるくらいだから、魔法の腕は並の魔族よりずっとよいのだとは思う。
 だが、勇者はルーカスのド派手な火魔法にも耐えていた。
 おそらく装備に何か秘密があるのだと思う。

 怪しげな力を秘めてそうな装備で固めた勇者と、普段着で武器も持っていない魔王。
 さすがに戦うのは無理だろう。
 ここは正体を偽ってもらって――

「私は魔王だ」

「ああっ、なんで自分から言うの!」
「あ? なんだマコト。それだけうるさいなら割と元気なのか?」
「あ、あなたがマヌケすぎるからでしょうがっ!」

 ダメだ……何考えてるんだこの人は。

「お前が魔王なのか!」

 勇者が剣を構え直す。

「そうだ。ならばどうする?」
「お前を殺し、マコトはもらっていく」
「フン、ダメだな。マコトは私の奴隷だ。渡すわけないだろ?」

 ぼくは奴隷だ。魔王じゃなくて、ルーカスの。
 だが訂正する余裕はない。
 魔王はすでに、両手に火の玉を作り始めている。
 勇者の耐久力は噂に聞いているのか、十分に火力を高めるつもりのようだ。

「魔王、覚悟!」

 そうはさせじと勇者が突っ込んでいく。
 だが魔王の魔法のほうが速かった。

「んあっ!」
「勇者様!」

 勇者が後ろに飛ばされた。
 だがすぐに起き上がり、後ろで叫んだ兵士に手のひらで大丈夫であることを示す。

 やはりそうだ。ダメージは衝撃だけ。
 炎そのものはそんなに効いているようには見えない。
 おそらく、あの鎧は魔法攻撃を軽減する力がある。

 しかもあのスピード……もちろん鍛えているのだろうが、人間の女性の動きではない。
 あの鎧には他にも何か秘められた力があるのかもしれない。

 すぐに魔王は次の攻撃を入れる。
 火魔法があまり効いていないと気づいたのか、今度は氷魔法だった。

 勇者はそれをかわし距離を詰める。
 勇者の一太刀。
 それを間一髪で魔王は飛んでかわした。

 魔王は魔法を使おうとするが、勇者がその暇を与えないよう猛スピードで攻撃を繰り出していく。
 魔王はかわしているが、とても長く持つとは思えない。
 やはり接近戦では勝負にならない感じだ。

 これは……。
 あ――

「うっ」

 勇者の一閃で魔王が床に倒れた。

 血が……!

 致命傷ではなさそうだが、治癒魔法は少し時間がかかる。
 治し終わるよりも勇者
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